ヴィヴァルディのチェロと通奏低音のためのソナタ変ロ長調 RV47 を聴く2020/07/13 23:00:00

ヴィヴァルディのチェロソナタのうちこのブログで最初に取り上げたのはホ短調だった。今回は変ロ長調 RV47 である。番号としては第1番である。ヴィヴァルディのチェロソナタ9曲のうち変ロ長調のものは3曲ある。残りもフラット系がほとんどで、変ホ長調が1曲、ヘ長調が1曲、ト短調が1曲である。シャープ系はすでに述べたホ短調だけで、残りの2曲がイ短調である。たったの9曲だけで断定するのは気が引けるが、なぜチェロソナタではフラット系が多い。一方、ヴァイオリン系はシャープ系が多いはずだ。

もう一つ付け加えると、ABRSM (英国王立音楽検定協会)の難易度表によれば、RV40の第1楽章と第2楽章はGRADE 6だそうだ。ちなみに、GRADE 1 がいちばん易しく、一番難しいのはGRADE 8までとなっている。他はどうかというと、ヘ長調 RV 41の第1楽章と第2楽章が GRADE 7、イ短調RV 44の第1楽章と第2楽章が GRADE8 のようだ。

さて、こちらの第1番だが、どうも第5番のホ短調と比べて難しいような気がする。それに、ヴィヴァルディにしては落ち着いている。バッハやヘンデルの音楽の印象にかなり近づいている。

第1楽章 Largo。 落ち着いた旋律と思いきや、途中で3連符からなる少し忙しい箇所があり、さすがヴィヴァルディだと感心する。落ち着いてひけば大丈夫だと思う。もう一つの難所は細かな付点16分音符と32音符の組み合わせだろう。

第2楽章 Allegro 3/8 拍子だが、いたずらに急ぐ必要はないだろう。分散和音が出てくるのがチェロとしてはやっかいだ。またここでも、拍あたりの三連符が出てくるので心を落ち着けたい。後半では低弦と高弦の対比が出てくるが、低弦が G なのがもの足りない。とはいえ、こんなところで嘆いても仕方がないだろう。

第3楽章 Largo 3/4 拍子。調号から見ると変ロ長調に見えるが、Aには♭がたいていついているので実際は変ホ長調である。重音がフレーズの冒頭で何度も出てくるので豊かな音が必要だ。また複付点リズムも頻出する。表記上は単なる付点になっている箇所がある。たとえば、上記楽譜では第1小節や第4小節などが該当する。これらは、当時の風習としては複付点で奏するべきだろう。このリズムについては、EMB でも言及されている。このリズムもなまることのないように。

第4楽章 Allegro 忙しい音符が出てくるが、音階練習をしっかりやっていればとまどうことはないはずだ。