すぎやまこういちの訃報を知る2021/10/10 19:45:16

きのうに引き続き、作曲者の訃報について記す。先日、すぎやまこういちが亡くなったとの報道があった。90歳である。長生きすることはよいことだ。報道では、ドラゴンクエストの作曲者としての紹介が多くを占めていたようだが、私はドラゴンクエストどころか、コンピュータゲームをしたことがないのでわからなかった。ただ、ソドレミで始まる最初だけはあまりにもいろいろな場面で紹介されていやでも耳に入ってしまうので、覚えてはいる。

すぎやまこういちは歌謡曲でも名曲を残している。ここで紹介するのはザ・ピーナッツが歌ってヒットした「恋のフーガ」である。ただ、この曲が有名になったのはメロディーというよりは編曲の斬新さだろう。今回採譜した楽譜は、編曲者である宮川泰に敬意を表して、イントロだけにした。コード進行も、Dm->E7 ではなく Bb->E7 という、ナポリの六度にしているのが凝っている。

聖女たちのララバイを聴く2021/06/29 22:33:05

NHK の「うたコン」を見ていたら、岩崎宏美が出ていて「聖女(マドンナ)たちのララバイ」を歌っていた。相変わらずいい声だったが、ひょっとしたら高い声を出すのがわずかにもったりしていたかもしれない。自分の加齢を認めたくないくせに、他人の加齢は気づいてしまう。

さて、この曲ではナポリの六度が登場する。ついこの間、同じナポリの六度が使われている、欧陽菲菲の「雨の御堂筋」を聴いたばかりだったので面白い。「……ララバイ」の楽譜は追って掲げたい。

欧陽菲菲の「雨の御堂筋」を聴く2021/06/13 20:48:09

ムード歌謡の続きである。朱里エイコの「北国行きで」の次は、欧陽菲菲の「雨の御堂筋」を聴いた。この曲もムード歌謡なのかどうか怪しいが、ある歌手による『ムード歌謡 〜歌姫昭和名曲集』と題したカバーアルバムの中にこの曲があったので、堂々とムード歌謡として取り上げることにした。それに、朱里エイコの「北国行きで」と同じく、かっこいい。

譜面はCメロを取り上げた。Cmに解決した後、Dbに行ってG7に進行しているのはまさしくナポリの六度である。この曲を取り上げるにあたって調べたら作曲はザ・ベンチャーズだったので驚いた。

朱里エイコの「北国行きで」を聴く2021/06/12 21:50:20

ムード歌謡の続きである。中条きよしの「うそ」の次は、朱里エイコの「北国行きで」だ。Wikipedia のムード歌謡の項にこの朱里エイコがあったが、どうみてもこの曲はムード歌謡ではなく、また朱里エイコもムード歌謡の歌手ではない。では、なぜここで取り上げるかというと、かっこいいからだ。パンチの利いた強い歌い方は、日本人にはなかなかいない。

Aメロはニ短調だがBメロはヘ長調に転じる。楽譜は転調したBメロを示した。私がこれを聴いたのはかれこれウン十年昔だ。そのとき、子供心ながらにこの転調に心をときめかした(こども転調といったのはどこぞの歌手である)。そしてこのフラット!たまらない。

伴奏も、中間部と終結部でナポリの六度を使っている。ここも心憎い。

「あばよ」を聴く2021/05/04 09:52:33

宮本浩次のカバーアルバム「Romance」のボーナスCDを取り上げる第3回は、中島みゆきの「あばよ」である。

こちらは、本家の中島みゆきの歌でより、研ナオコの歌で、なじんでいる。中島みゆきの歌は、ほかの歌謡曲より歌詞の意味を強く感じる。楽譜は歌いだしではなく、ナポリの六度が出てくる箇所を抜き出した。最終段の"Bb"がナポリの六度である。

ドッツァウアー113 の練習曲から No.43 を練習する ―2021/04/01 23:00:00

ドッツァウアー113 の練習曲から No.44

ドッツァウアー113 の練習曲から No.43 を練習した。譜面は4段目までを掲げた。

今までにも大変な曲があったけれど、とにかくこの曲は大変だった。まず、全曲弾きとおすことが困難だった。この曲は2ページあるのだけれど、最初は半分も弾けなかった。今でもこの曲を弾いてみろと言われたら、弾けない。なぜ弾けないかというと、疲れるからだ。なぜ疲れるかというと、アルペジオの連続だから弓を持つ右手に負荷がかかり、その結果右手指に感じる痛みが増大し、弾き続けられなくなる。

どうやったら痛みを感じることなく弾きとおせるのだろうか。指が痛くなったということは先生には言わないでいたから、痛みを取る処方箋はわからずじまいだった。結局何回も練習して、痛みがそれほどでもないような弾き方を見つけたのか、それとも痛みに耐える方法を見つけたのか、今となってはさっぱりわからないが、次の曲へ行くことを許してもらえた。

全く関係ないが、ドッツァウアーの短調の練習曲では、ナポリの六度が出てくる確率が高いように思える。この曲もそうだ。

雨の御堂筋が聞こえてくる2020/10/29 19:30:00

テレビから「雨の御堂筋」が聞こえてきた。欧陽菲菲が歌っていたヒット曲だ。久しぶりだなあと思っていたら、サビを聴いて驚いた。この B♭はナポリの六度そのままではないか。なお、最初の4小節は、Dm - Dm - Am - Am ではなく、Dm - G - C - Am としている譜面もあり、そちらが正解だろう。

チェロソナタ・エディションを聴く(CD 14 リース)2020/10/09 20:00:00

チェロソナタ・エディションのCD 13 はリースのチェロソナタ3曲である。CDまるごと、一人の作品で占めている。ベートーヴェンの弟子ということで厚遇されているのだろうか。それはともかく、リースのチェロソナタも、思ったよりよい。

リースのソナタ3曲はそれぞれ op.20、op.21, op.125 の3曲がある。op.20 と op.21 は若書きなのだろうか、ベートーヴェンの初期の作品を連想させる。また、op.125 はベートーヴェンの中期を想起させる。ただ、リースはベートーヴェンとどう違うか、はっきりは言えない。

op.21 の終楽章のロンドを聴いていたら、主題にナポリの六度が出てくるのでちょっとシューベルトを思い出したが、その後の展開はシューベルトほどの波乱は見せていない。古典派からロマン派の間ということなのだろう。

チェロソナタ・エディションを聴く(CD 9 ペリコーリ)2020/10/06 20:45:54

チェロソナタ・エディションを聴く(CD 9 ペリコーリ)を聴いた。このあたりから、チェロの技巧が少しずつ表に出てくるようになる。

この Pasquale Pericoli という人はほとんど知られていない。少なくとも、Wikipedia での項目は見当たらず、IMSLP にも6曲のチェロソナタの作曲者としての登録しかない。 Sonata No.4 ヘ短調の第2楽章はシチリアーナ:カンタービレという曲種紹介と速度記号がある。このシチリアーナにはナポリの六度が出てくる。シチリアーナにはナポリの六度が出てくるというどこかの主張は、この曲に関しては該当することになる。

「太陽にほえろ」のメインテーマを聴く2020/10/04 10:04:13

以前録画していた「カセットテープ・ミュージック」を再生していたら、井上堯之バンドの「太陽にほえろ」のテーマ曲が紹介されていた。懐かしいな、と思って聴いていたら、ナポリの六度が使われていることに気が付いた。下の楽譜の二段目、G♭のコードになったところがナポリの六度である。


クラシックのナポリの六度は「決めるところで」使われるとしたものだが、日本のポップスで使われるナポリの六度はクラシックとはちがって「さりげなく」使われるようが気がする。しかし、これはただの印象であって、実証的研究はしていない。