岡部真一郎氏の訃報に接する2025/02/24 22:33:53

少し前の話になるが、音楽学者の岡部真一郎氏の訃報を新聞で知った。65歳か、まだ若いのに、と本当に驚いた。

越谷市にはサンシティという会館があり、そこで、ティータイムコンサートというクラシックのコンサートが 1991 年から年に4、5回開催され、何と現在で201回を数えている。私が越谷市に越して来たのは1997年で、そのころから気に入ったプログラムは聞きに行っていて、たぶん20回ぐらいは行ったのではないかと思う。そのコンサートの場ではかならず岡部氏が司会をつとめていて、開幕のあいさつから休憩後の演奏者へのインタビューなど、うまく話を進めていってくださっていた。

一度、コロナ禍のために2020年からティータイムコンサートがほぼ1年、開催されなかったことがある。2021年に再開されたが、そのとき司会の岡部氏が1年ぶりの開催にあたって感極まり、涙声になっていたのを今でも覚えている。

最近は金がないのでティータイムコンサートも年に1度程度しか行っていないが、岡部氏の遺志を継ぐためにティータイムコンサートに出かける頻度を多くしようと思った。

なお、ティータイムコンサートのいわれは、休憩時間にコーヒー/紅茶/オレンジジュースのいずれかの一杯がサービスでふるまわれることからついたのだが、コロナになって以降、飲み物がふるまわれなくなったのが残念だ。

セットリストという名前を考える2025/01/01 23:59:59

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

私が聴いてきたコンサートは昔からずっとクラシックだった。しかし、最近は縁があってロックのコンサートにも出かけるようになった。ロックのコンサートで演奏した曲を順に並べたものを「セットリスト」ということを最近知った。ロックのコンサートは事前のこの曲をこの順序でやります、というプログラムを配ることはない。「セットリスト」はもとは演奏者が曲順をキーやMCのタイミングなどと合わせて決めた書き物としての一覧のことを言ったらしいが、今では書き物に限らず、実際に演奏した曲目とその順序のことを言うようだ。略語は「セトリ」である。

さて、長々とセットリストのことを書いたかというと、コンピュータ言語を長らくやっていると、セットという概念とリストという概念は似て非なるものなので、これら二つの単語を並べられると違和感を覚えるのだ。

どんなコンピュータ言語にも、複数のデータを一括して扱える構造がある。この一括して扱う構造は、一般にコレクションと呼ばれる。そのコレクションにも様々な種類があるコレクションの個々の種類の呼び名は言語の種類によってさまざまだが、ここでは Python(パイソン)という言語を例にとろう。Python には、コレクションの中にセットという構造とリストという構造がある。セットがもつ要素には重複は許されず、また順序ももたない。たとえば、[4,1,2,6] とかいても、[1,2,4,6]と書いても、また[1,1,4,2,2,6]と書いても、すべて同じセットとみなされる。しかし、リストは順序は決まっているし、要素の重複も許される。つまり、[4,1,2,6]と[1,2,4,6]と、[1,1,4,2,2,6]は異なるリストである。

ここでセットリストの話に戻ろう。つまり、セットとリストは、コンピュータ言語の世界で似て非なる概念であるのにもかかわらず、ロックのコンサート(ライブと呼ぶべきか)ではセットリストと呼んで、なんともみんな思っていないのだ。これは実に気持ち悪い。きっと、コンピュータ言語をやっていてロックのライブに行くやつらはゴマンといるはずだが、こういうやつらはみななんとも思っていないのだろうか。

コンピュータの概念に照らせば、ライブのセトリはリストであるがセットではない。だから単に「リスト」と呼べばいいのだが、なぜそうしないのだろうか。それにしても新年から実にどうでもいいことを書いてしまった。

プッチーニの「ラ・ボエーム」を最初だけ聴く2024/12/24 23:01:09

プッチーニの「ラ・ボエーム」を最初だけ聴いた。ところで、NHK はこのオペラを冠詞を省略して「ボエーム」と表記するのはなぜなのだろう。

ちなみに、この脚本はクリスマス・イブから話が始まるのだが、今日見たのは本当に偶然で、意図して今日を選んだのではない。

「あまちゃん オープニングテーマ」を考える2024/11/09 23:39:54

「あまちゃん オープニングテーマ」は、NHKの連続テレビ小説(以下朝ドラ)の「あまちゃん」のオープニングテーマである。この曲を聴いて、考えたことがある。

一つは、このオープニングがインストゥルメンタルだということだ。これ以降、現在(2024年度下期)にいたるまで、朝ドラのオープンニングでインストゥルメンタルのものはない。朝ドラでインストゥルメンタルのものは、私が思い出したのは「あすか」だが、身近にいる人が「おしん」もある、と言った。確かにその通りだ。ほかには「てっぱん」に使われた「ひまわり」もあるのだが、こちらは音楽が思い出せなかった。わたしはインストゥルメンタルが好きなのだが、なかなか採用されないのはなぜなのだろうか。

もう一つは、このテーマのリズムである。これについては後で書くことにする。

知人の写真家の急逝を知る2024/11/05 18:14:54

私の机の中に、度数0のテレフォンカードがある。あるプロデューサーの葬儀で配られたテレフォンカードで、そのプロデューサーの仕事を捉えた写真がプリントされている。

そういえば、この写真のクレジットにある、知人の写真家は今どうしているだろう、と思ってインターネットで検索してみた。すると驚いたことに、数年前に急逝したのだった。私より若い知人が亡くなるなんて、本当に私の知人なのだろうか。紹介文にある経歴を読む限り、確かに私の知っている写真家と同じだ。顔写真を見ても、やはり知人としか思えない。なんということだろうか。

作曲家と作品を考える(2)2024/09/09 10:30:43

すこし前に、作曲家と作品を考える(1)という記事を書いた。今日はこれを受けて、引用した教材の【2】の問題を清書した。

【2】次の作曲家の作品をア~コより選んで( )の中に記号で書きなさい。

作曲者名作品名
(1)滝 廉太郎( )ア.この道
(2)武満  徹( )イ.涅槃交響曲
(3)山田 耕筰( )ウ.夏の思い出
(4)中田 喜直( )エ.ノヴェンバー・ステップス
(5)成田 為三( )オ.浜辺の歌
(6)宮城 道雄( )カ.平城山
(7)團 伊玖磨( )キ.歌劇「夕鶴」
(8)小山 清茂( )ク.荒城の月
(9)黛  敏郎( )ケ.春の海
(10)平井康三郎( )コ.管弦楽のための「木挽歌」

課題解答者は全問正解している。今回は課題解答者の解答は引用しなかった。元気がある人は挑戦してほしい。

こちらに関しては西洋のクラシック音楽ほどは話題にならなかった。仕方がないだろう。私が気になったところを以下挙げる。

まず、ルビである。今回は引用にあたってルビを振らなかったが、振ってあったのが涅槃ねはん交響曲と木挽こびき歌だった。それだったら、平城山ならやまも振る必要があると思うのだが、どうだろうか。

それから作品名なのだが、ある作曲家は歌劇や管弦楽であるのに対し、ある作曲家は歌曲である。有名な曲となると分野がわかれてしまうのかもしれないが、ちょっと残念だ。すべてを歌曲あるいはもう少しみんなに馴染みのある曲に寄せることはできないだろうか。例えば、武満ならば、音楽史的に有名な「ノヴェンバー・ステップス」の代わりに、敢えて、「死んだ男の残したものは」はどうだろう。私が最初に聞いた武満の曲でもある。小学校4年生のときに、担任の先生がギターで弾き語りしてくれたのだ。團伊玖磨は当然「ぞうさん」だ。そして、黛敏郎は、広く知られている歌こそないものの、「スポーツ行進曲」は、私のようなロートルは知っているはずだ。

作曲家と作品を考える(1)2024/09/06 17:19:17

下記の X (旧 Twitter)の記事がおもしろかった。
https://twitter.com/KimSeohyeon__/status/1830798156973633629
元記事の投稿者の弟さんが、ここにある課題の作曲家と作品を全部覚えないといけないらしくて頭抱えてた...ということである。

せっかくなので、私が【1】の表を一部清書した。罫線がうまく出ないのは勘弁してほしい。

時代区分作曲者名生まれた国主な作品1主な作品2
バロックヴィヴァルディイタリア「グローリア・ミサ」合奏協奏曲「調和の霊感」
バロックヘンデルドイツハープシコード曲「調子のよいかじや」管弦楽組曲「水上の音楽」
バロックJ. S. バッハドイツオルガン曲「トッカータとフーガ ニ短調」ブランデンブルク協奏曲
古典派ハイドンオーストリア弦楽四重奏曲「ひばり」交響曲「軍隊」
古典派モーツァルトオーストリア歌劇「魔笛」歌劇「フィガロの結婚」
古典派ベートーヴェンドイツ交響曲「英雄」大公トリオ
ロマン派ロッシーニイタリア「スタバト・マーテル」ウィリアム・テル序曲
ロマン派シューベルトオーストリア歌曲「魔王」歌曲「野ばら」
ロマン派ショパンポーランドポロネーズ「英雄」前奏曲「雨だれ」
ロマン派リストハンガリー交響詩「前奏曲」ピアノ曲「ハンガリー狂詩曲」
ロマン派ワーグナードイツ楽劇「トリスタンとイゾルデ」「ローエングリン」
ロマン派ヴェルディイタリア歌劇「アイーダ」「リゴレット」
国民楽派スメタナチェコ歌劇「売られた花嫁」わが生涯から
近代ムソルグスキーロシアボリス ゴドノフ交響詩「禿山の一夜」
近代チャイコフスキーロシアバレエ音楽「くるみ割り人形」白鳥の湖
近代ドボルザークチェコ交響曲第9番「新世界より」ユーモレスク
近代ドビュッシーフランスピアノ組曲「子供の領分」
近代レスピーギイタリア交響詩「ローマの松」ローマの祭
現代ストラヴィンスキーロシア春の祭典バレエ音楽「火の鳥」
現代ショスタコヴィチソビエト交響曲 No.5「革命」森の歌
現代プロコフィエフソビエト第3番交響的物語「ピーターと狼」

引用にあたって、もとの表はヘッダで一部罫線を抜いていたが、ユニバーサルデザインの立場から罫線抜きをやめた(HTML のことばでいえば、rowspan と colspan をつかわず繰り返し表記にした)。また、赤字は課題遂行者(と思われる弟さん?)による筆記解答、黒字はもとの課題に印刷されている課題製作者による情報である。

この表を見た方々がいろいろな意見を寄せている。大別すると次のとおりである。

  • このような暗記を強制するのはよくない
  • 暗記を通して音楽を好きになってほしい
  • その他

その他の代表は、たとえば「この作曲家がいない」だったり、課題遂行者のセンスがすごい、というものである。

私も上記記事を引用して旧 Twitter に投稿した。久しぶりのことである。私の投稿が気になる方がいるかもしれないが、それは書かない。その代わり、他で気になったことを書く。

まず、他のコメント投稿者も言っていたが、課題遂行者のセンスが凄い。ヴィヴァルディで「グローリア・ミサ」とか、スメタナで「わが生涯から」とか、ドビュッシーで「春」とか書けるのが末恐ろしい。私もかなりの曲を聴いているが、ヴィヴァルディの「グローリア・ミサ」は聴いたことがない。

あとこれは、センスではないが、あえて総称で呼んでいるのも意図してか否かは知らないが面白い。話題になっていたのはプロコフィエフの「第3番」であるが、これはピアノ協奏曲の第3番だろうか、交響曲の第3番であれば渋すぎる、などの意見があった。プロコフィエフの第3番といえば、他に何があったはずと気になったが思い出せず、作曲家辞典を引いてピアノソナタ第3番もあったことに気づいた瞬間、恥ずかしさで気絶しそうになった。知人が練習して、そして私も練習したことのあるピアノソナタ第3番に気づかなかったのはいったいなぜだろう。ちなみに、交響曲、ピアノ協奏曲、ピアノソナタ以外で第3番と称するジャンルはプロコフィエフにはなさそうだ。総称と言えば、バッハのブランデンブルク協奏曲があるが、これは第何番を指しているのだろうか。それとも、ヴィヴァルディの課題製作者による情報「調和の霊感」だって計12曲あるのにどれかも書いていないのだから特定する必要はないと思ったのだろうか。

コメントに対してコメントしてみるのもありだろうか。かりにこれがテストで出たとして、穴埋めで最も多くの空欄に当てはまる万能曲名があるとすれば何か、という観点から、「交響曲第1番」や「ヴァイオリン協奏曲」などを挙げる意見があった。そうすると、「交響曲」として埋めて正解となる作曲家は少なくとも11人いる。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ロッシーニ、スメタナ、ドボルザーク、チャイコフスキー、ストラヴィンスキー、ショスタコヴィチ、プロコフィエフである。スメタナの交響曲の名前は「祝典交響曲」であるがここに含めている。なお、この記事を書くにあたってストラヴィンスキーの作品一覧を調べて、交響曲第1番があることを初めて知った。一方、ヴァイオリン協奏曲ではヴィヴァルディ、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、チャイコフスキー、ドボルザーク、レスピーギ、ストラヴィンスキー、ショスタコヴィチ、プロコフィエフの12人である。ただし、レスピーギは「グレゴリオ風協奏曲」を事実上のヴァイオリン協奏曲とみなした結果である。ヘンデルにはヴァイオリン協奏曲がないのが意外だった。ヘンデルの協奏曲はほとんどがオルガンが合奏協奏曲の形をとっている。ほかには多くの作曲家が書きそうな「ピアノソナタ」、「ヴァイオリンソナタ」、「弦楽四重奏曲」などが習作も含めて候補にあがるが、調べるのが面倒になってきた。意外に侮れないのが「スターバト・マーテル」で、ここに名のある作曲家では、課題遂行者が載せたロッシーニのほか、ヴィヴァルディ、ハイドン、シューベルト、ドボルザーク、ヴェルディの計6名が曲を残している。

最近音楽を聴いていないと思う2024/07/06 22:46:17

昔はクラシック音楽を聴くのが楽しかった。今でも楽しいのだけれど、新しい、今までに聴いたことがないのを聴くのが少し面倒になってきた。困ったことだ。

「拍子と小節」というページを作る2024/06/27 22:23:28

久しぶりの更新情報である。「拍子と小節」というページを作った。以前のブログ「小節を考える」や、「小節をさらに考える」を少しだけ拡充させたページである。

某団体のホームページを見てみる2024/06/01 10:03:41

昔の本を見てみたら、しおり代わりに使っていた切符の半券が出てきた。2002 年に行われた、某団体主催のコンサートだった。そういえば、この団体はどうしているのだろうか、ホームページを見てみた。すると、最新情報が 2016年だった。この某団体はいまも活動しているのだろうか、心配になった。