ヒナステラ:ハープ協奏曲2008/02/11 18:54

ヒナステラらしさに溢れる、楽しい曲。ピアノソナタ第1番と並び、人気が高い。打楽器も大活躍する。
第1楽章:打楽器の喧騒から、憂いに満ちたハープの旋律が浮かび上がる。バックにときどきヒナステラのテーマ(ソファミソファミレ)が挿入される。
第2楽章:夜のしじまを思わせる美しい楽章。
第3楽章:五音音階の主題がハープとオーケストラのかけあいで展開される。

以下、戯言。
・日本のハープ奏者である吉野直子はたびたびこの曲を演奏している。あるときN響で競演したのだが、指揮者のサヴァリッシュは面食らっていたという。
・私はT教という宗教の門徒であるが、宗主T氏はヒナステラの大御所であり、このハープ協奏曲をギター協奏曲に編曲したという。完成したかは不明。

ヒナステラ:ピアノソナタ第1番2008/02/11 18:20

ヒナステラの作品の中で、もっとも人気の高い曲である。全4楽章。
第1楽章:ソナタ形式。全曲を通して変拍子と複合拍子が交錯する。第1主題はファンファーレ風の高音と湧き上がる低音の組み合わせによる力強い楽想。第2主題は装飾音を伴う子守唄風の楽想。
第2楽章:3部形式。無調のユニゾンによる無窮動に続きヒナステラ風のメロディーが顔を出す。
第3楽章:形式は不明。ギターの開放弦の音型(E-A-D-G-H-E)(ドイツ表記)から自由なアリアが生まれ、クライマックスに達する。
第4楽章:ロンド形式。3/4拍子と6/8拍子が絡み合う、血沸き肉踊る曲。ヒナステラのモチーフといえる、ソファミソファミレがここで聞こえる。このモチーフは、ハープ協奏曲の第1楽章でも使われる。

演奏はテレンス・ジャッドのものが群を抜いている。本ソナタの日本初演者である境さんのホームページや、本ソナタの各種演奏を聴き比べているkyushimaさんのホームページでも、テレンス・ジャッドの演奏の評価が高い。

ヒナステラ:ピアノ五重奏曲2008/02/10 16:16

ヒナステラの曲の中では晦渋。7楽章からなり、全楽器で奏される奇数楽章が、1つまたは2つの楽器でのみ奏されるカデンツァ的な偶数楽章を挟む形式となっている。

第1楽章:十二音の中に、ヒナステラ風のフレーズが顔を出す。
第2楽章:ヴィオラとチェロの二重奏。ヴィオラの高まりがすばらしい。
第3楽章:弦に支えられピアノが高音で煌く。
第4楽章:ヴァイオリンの喧嘩の趣。
第5楽章:断裂したピアノと弦の響きにより、静かさが強調される。
第6楽章:ピアノが暴れている。
第7楽章:全楽器が咆哮する。

全曲を通して、メロディやリズムによらない、抽象的な喧騒や美感を打ち出そうとしているように私には聞こえた。

これが成功しているかは私にはわからない。ヒナステラの曲は、初期の人懐こい曲想から中期以降変容し、苦く、難しく感じられるようになる。おせっかいを承知で言えば、私の好きな作曲家であるフォーレにも通じる傾向である。

ヒナステラ:小さな舞曲2008/01/30 22:34

この曲は、ヒナステラのオーケストラ曲「エスタンシア」からの編曲である。ピアノ単独でも十分かっこいいとは!驚きであった。

ヒナステラ:童謡による小品I、II2008/01/30 22:24

童謡による小品I,IIとも4曲ずつである。
小品Iは、分散和音が美しい第1曲、「踊る小熊」という表題が示すようにとびはねる第2曲、静かな第3曲、ずっこけながら進む第4曲。技巧はそれほど必要ない。

小品IIはリズムが楽しい第1曲、弱音から盛り上がる第2曲、アルゼンチン舞曲集を思い出させる第3曲、元気のよい第4曲と面白い組み合わせである。

ヒナステラ:子供のためのアルゼンチン舞曲2008/01/30 22:22

こちらは2曲である。どちらも愛らしい。

ヒナステラ:アルゼンチン童謡の主題によるロンド2008/01/30 22:17

表題からわかるように、かわいらしい主題である。これに音階や和音やリズムがいろいろつく。ほほえましい曲である。バルトークのミクロコスモスに通じているようだ。

ヒナステラ:「暁の光は赤く染まり」の主題によるトッカータ2008/01/29 22:45

主題は自作から取られている。
ぶっきらぼうな和音の塊から成る主題を受けて、12の変奏とトッカータが奏される。
半音とリズムの組み合わせ、
うねる単旋律が果てしなく続く、
和声の厚みが増す、
などの変奏手法がとられている。

トッカータは、音型だけからいえばシューマンのピアノ曲であるトッカータと似ているが、その後の変容はすさまじい。

音の豪快さで知られるヒナステラだが、この変奏曲では厚みと薄さと両者の対比で勝負する曲となっている。この方面からヒナステラを評価する人は少ないし、私もよさがわからないが、もっと研究が深まるとよいと思う。

ヒナステラ:トッカータ、ビリャンシーコとフーガ2008/01/29 22:29

トッカータ部分の冒頭はプラルトリラーで始まる。ちょうどバッハの「トッカータとフーガ」の冒頭に似ている。
その後、12のアメリカ風前奏曲op.12の第11曲「エイトール・ヴィラ=ロボスを讃えて」に酷似する旋律ほかが次々に現れる。全体にオルガンの壮麗さを強調している。

ビリャンシーコは一転して宥めるようなメロディーに変わる。ビリャンシーコとは、南米に伝わるクリスマスキャロルのこと。

フーガは、B-A-C-Hの主題に基づいて展開される。ただし、バッハの「フーガの技法」とも、またリストの曲とも異なる。最後は意外なほど素直に終わる。

もう少し聞き所はあるはずだ。

ヒナステラピアノソナタ第3番2008/01/29 22:23

第3番は力感あふれる単一楽章のソナタ。調性感が失われたのは第2番と同じ。第2番の第1楽章よりわずかに速度は遅いが、逆にとまらずに動き続ける力は強く感じる。ときどきつかわれるグリッサンドが効果的。

また、ヒナステラ初期のモチーフも垣間見られる。このモチーフは第1番のピアノソナタ第4楽章や、ハープ協奏曲第1楽章にも見られるもので、やはりヒナステラの刻印ともいえる。