「悪税」表記を見る2023/12/11 23:59:59

「悪税」表記された本

図書館から借りた「米長邦男 VS 中原誠の巻」という本を見ていたら、定価の欄に「悪税」と書かれているのを発見した。消費税が導入された当初、本の広告で「悪税」と書いてあるのを見たことがあるが、本そのものについているのを見たのは初めてなような気がしている。悪税表記をシールで貼った出版社は、本当に怒っていたのだろう。なお、本書の発行は1980年6月2日初版第1刷である。

捨てる本で悩む2023/11/19 14:22:50

家にある本を捨てると決めて1週間たった。なかなか捨てられなくて困る。捨てようと思っている本、捨ててもいい本を眺めて、自炊をするために本を割らなければならない。そこで本に割るような力を入れても、なかなか割れない。今は捨てないで、と言われているようで、本当につらい。

本の「自炊」を再開する2023/11/16 22:56:16

最近、老眼のせいもあり、本を読むのがつらくなってきた。だからあまり本が読めない。読めない本を保管するのは場所をふさぐだけなので、処分したい。しかし、処分するのもしのびない。そんなことを思っていたら、本を裁断して、スキャナーに読み込ませる、ということができることを知った。いわゆる「自炊」である。自炊してから処分すれば、多少はしのびないと思う気持ちを和らげることできるはずだ。そう思ってスキャナーを購入して十年以上前である。

結局スキャナーに読み込ませた本はほとんど見ていないが、何もせずに処分するよりはましである。再度文庫本を中心に多分読まないだろう本の自炊を再開した。ところが、けっこう文庫本は丈夫なのだ。丈夫な本を引きちぎったり裁断したりするのはやはり気がひける。ただ、場所ふさぎになるよりはいいだろう。そう思って、手を合わせて成仏できるようにと祈りながら自炊している。

書店に行く2023/05/25 23:59:59

近くの書店に行った。この日に本を買うと、ポイントが通常日の5倍つくからである。さて、この書店に行って買いたい本があるかどうか少し見てみたが、ほとんどないのだった。もちろん、財布のことを考えなければほしい本があるが、家がさらに散らかるだろうからそれを思うと買いたい気持ちが萎えてしまう。結局、買ったのは土屋賢二先生の「長生きは老化のもと」という、人を食った(ラパリサードの例のような)題名の文庫本だけだった。次に書店に行くときは、もっと購買意欲を持ちたいと思う。

林晋編著の「パラドックス」を読む2023/02/01 23:59:59

某所から借りてきた林晋編著の「パラドックス」を読んでいる。本書は有名なパラドックスについてそのパラドックスの専門家が解説をしている。バナッハ・タルスキのパラドックスは、ある数学者が解説している。その回説ではまずゼノンのパラドックスについて紹介したあとで、このパラドックスは、数学者にとってはすでに解決済みなのですが、哲学者はそうは考えていないようです。とある。別の章は「アキレスは亀を追い抜けないのか」というタイトルで哲学者が解説していて、そこでは哲学者が問題の問題たるゆえんを説明している。わたしは哲学者の立場は面倒なのでとりたくないが、問題を味わってみるのも悪くはないだろう。

鈴木志郎康が亡くなっていたことを知る2022/12/28 19:04:35

わたしは昔現代詩を読んでいた。意味がわからない詩ばかりだったが、意味をとることに疲れていたころ、意味がわからないものに身をゆだねるのが快感だった。

さて、今日来た夕刊を読んでいたら、詩人の鈴木志郎康が亡くなっていたことを知った。私が鈴木志郎康を知ったきっかけは覚えていない。ひょっとして吉本隆明の評論だったかもしれない。とにかく、この得体のしれない詩人を知って私は驚いた。私が読んだ鈴木志郎康の詩は、現代詩文庫の正・続にあったものといくつか買った詩集しかないけれど、初期の詩がだんだん過激になって時期、その後に急に穏当になった時期、そして穏当かつ過激な時期があったように思う。

そういえば、私が通った高校の卒業生のメーリングリストというものがあって、そこに参加していたことがある。自己紹介のとき、誰も知らないだろうと思って好きな詩人が鈴木志郎康と書いた。すると、メーリングリストの参加者から、私は鈴木先生に大学で教わりました、という返事があって驚いた。聞いてみると、鈴木先生はおそらく映像作家として教壇にたったようだった。私は映像作家としての鈴木は全く知らない。機会があれば映画などを見ることができるだろうか。

同じ詩人のねじめ正一が、鈴木志郎康のことを書いた小文があった。私はそれを読んで衝撃を受け、未だに忘れられない。鈴木とその家族のことについて書かれているが、ちょっとここで記すには恐れ多くてかけない。

本の賞味期限を考える2022/03/31 23:59:59

最近古本屋に行った。その古本屋は中は明るく場所も広いが、ジャンル別には揃えられていない。まあ、昔ながらの古本屋とブックオフの間あたりということだろうか。

さて、その古本屋である分野の本がないかどうか探してきた(ビニ本の類ではない)。確かに4,5 冊はあったのだが、1冊が 80 円だったほかは残りはみな 380 円だった。なぜこんなに高いのだろうか。

380 円は高くはない、という人がいるかもしれない。しかし、私が見るところ、その分野はけっこう年数が経過すると役に立たなくなるのだ。役に立たなくなれば価値は減るから、もっと安い値段をつけてもいいはずだ。しかし、ついていない。これはこの書店の店主(かその店舗の値付けの仕組み)が、値段の付け方がわかっていない証拠ではないか。

結局、私は4,5冊のうち、ただ1冊あった80円の本と、380円の本のうちもっとも新しく、さほど価値も減じていないだろう本の2冊を買った。本にも賞味期限があるのだ。

尻拭いを考える2022/03/23 19:50:09

本を図書館から借りて読んでいると、中には鉛筆の書き込みがある本がありがっかりすることがある。仕方がないので消しゴムを使って消すことにしている。俺が鉛筆で書きこんでいると勘繰られるのは嫌だからだ。なんか、本を借りたのに他人様の尻ぬぐいをしているような気分になった。もっとも俺は、仕事というのは他人様の尻ぬぐいのことである、という説を立てている。ということになると、俺の仕事は図書館から借りた本の読書なのか。何か変だ。

かつての同僚で、自分は敗戦処理ばかりやらされる、と嘆いていた営業員がいた。好成績を上げる営業員がいるのに、自分は他人様の営業の不始末を負わされる、ということのようだ。確かにこの営業員は損な役回りばかりだったような気がする。

翻って自分のことを考える。俺は自分のケツは自分で拭いていたと思う。だが、知らないうちに自分の不始末を他人様に押し付けていたのかもしれない。それから先は書かぬが花だろう。

花田清輝の「歌いりイソップ」を読む2020/09/22 14:52:26

第三書館から出版された、「ザ・清輝」という、大部な本がある。花田清輝の主だった作品を収めてある。それを買った理由はあまりよく覚えていない。

さて、このブログには音楽室という名前がある。この本に収められた音楽論があればいいのだが、それらしい論が見つからない。そのかわりに、「乱世をいかに生きるか」に収められた「歌いりイソツプ」の「二、秘密」と題された話を読んでみた。

この第三書館版の活字上は促音便のツは大文字で、「歌いりイソップ」ではない。以下引用するが、原文では撥音便や拗音便を大きな「つ」「や」「ゆ」「よ」で使っているところ、引用文は小さな「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」で表示する。さて、この「秘密」という話は次のように始まる。

ある国に驢馬の耳をもった王さまがいた。 王さまは、いつも大きなずきんをかぶっていたので、 かれの耳の秘密を知っているものは、王さま附きの理髪師だけだった。 理髪師というやつは、 「セヴィラの理髪師」の例によってもあきらかなように、 概して口にしまりがない。

「セヴィラの理髪師」はロッシーニの歌劇であるが、私は聴いたことがない。いつかは聴けるだろうか。そして、王さまは理髪師に秘密をばらしたら死刑だぞ、と脅していた。さらにそれだけでは安心できず、王様はこんなふるまいに及ぶ。

法律をつくり、耳に関して一言でもしゃべる者は、 すべて破壊活動を行う者とみとめ、 一人残らず逮捕してしまうことにした。 国民は、なんのことやらわけがわからなかったが、 とにかく、ながいものにはまかれろ、というわけで、 従順にその法律を受けいれることにした。 その結果おこったいちばん滑稽な出来事は、 女主人公の名前がミミだというので、 歌劇「ラ・ポエーム」が上演禁止になったことだ。

「ながいものにはまかれろ」ということばは「寄らば大樹の陰」と並んで私の好きなことばである。この滑稽な出来事というのはどこか現代を連想させる。悪事で逮捕された俳優が出演している画面を時間をかけて削除していることを知ると、そのような時間をかけることがもったいないと感じる。

さて理髪師は、真相をバクロしたくなったがそこをこらえ、器械に向かって「王さまの耳は驢馬の耳!」と繰り返し、録音したレコードを戸棚の奥深くにしまい込んだ。王さまの秘密は保たれていたが、この理髪師は死んでしまう。告別式が故人の自宅で盛大に行われた。以下は全文引用する。

人びとは、べエトーヴェンの「葬送行進曲」 のレコードに耳をすましながら、 温厚な故人の風貌を思いうかべていた。 すると突然、故人の肉声が、息もつかずに、 とんでもないことをしゃべりはじめた。

 破壊活動防止には
 むろん、わたしも大養成
 しかし、つらつら思うのに
 火焔びんより原爆を
 どうして防ぐかが問題だ
 ながろうべきか
 死すべきか
 ああ! それこそが問題だ!

 教訓 ピクピクするだけ損である。

 どのようにこの話を解釈すべきなのだろうか。

本を有効活用したいと思う2020/04/28 23:00:00

今まで買ってきただけで読んでいない本というのがけっこうある。この機会に読もうと思っているが、なかなか読む気力が起きない。いま読まなかったらいつ読むのか、とどこかの予備校教師のようなことを思っているのだが、そのうち読む気力がわいてくるのを待つしかないのだろう。