嫉妬する2019/01/27 21:40:07

きょう、オーケストラの演奏会に行ってきた。そのことは別のところで書く。ここで書くのは嫉妬のことだ。

ナポレオンは「余の辞書に不可能という文字はない」と言ったという。これは誤訳であり本当に言ったのはそんなことではないとか、はなからそんなこと言っていないとか諸説ある。これをもじっていえば、私の辞書のうち、嫉妬を意味する単語は全体の2割から3割を占める。

嫉妬を覚えたのは、ここのオーケストラのある団員を見た時だ。私はここのオーケストラを10回以上聴きに行っているので、見知った顔もいる。今日、舞台に出てきた団員のうち、ある一人に見覚えがあった。その人を見ていて、あるできごとを思い出し、合わせてその人に抱いた嫉妬心をも思い出した。

かなり昔のことだ。私はある合奏団(オーケストラとは呼ばない)に所属していた。この合奏団の演奏会をするときヴァイオリンの人数が足りなかったので、ヴァイオリン弾き何人かに手伝ってもらった(いわゆるエキストラである)。そのうちの一人が、このオーケストラの団員のヴァイオリニストだった。このヴァイオリニスト氏は非常に達者だった。どう達者だったかというと、個人練習中に弾いていたのが、難曲、バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番ト短調のフーガだったからだ。驚いたことに、氏はこの難曲をまるで鼻歌でも歌うかのようにスイスイと、しかも楽しそうに弾きこなしていたからだ。私はこの姿勢に脱帽し、それが嫉妬へと変わっていった。

昔のことだからそれきりで忘れていたのだけれど、今回氏の顔を見て改めてそのときの驚きと嫉妬を思い出した。

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