将棋道場に行く2019/01/03 23:00:24

2019年01月03日

久しぶりに御徒町将棋センターに行った。何年ぶりだろうか。席主は私を見て、長い間来てなかったじゃない、4年ぶりじゃないの、と声をかけた。4年も前のことを覚えているのか。びっくりした。まずは二段で申請して相手を待った。この日は全局居飛車で戦う腹積もりだった。指しやすいのは振り飛車だが、勝率が悪いので、考えるのがつらいが居飛車で行くことにした。結果、5人と戦い、全勝した。相手はすべて男性で、そのうち1人を除いて私と同じか私より年齢が上であった。

第1戦は私の先手。横歩取りに誘導され、相手は△3三角・△8四飛の戦法を採用した。こんな将棋は、私が中原対内藤の将棋以降知らない。私は▲5八玉、▲4八銀、▲3八金、▲3七桂のお神酒指しの形と▲2九飛の下段飛車の形を作って待機することにした。この戦法は本当にどこから戦いが起こるかわからないので攻められたらそれまでと思い観念した。ちなみに相手もこちらと同様お神酒指しの形だった。実戦は相手の浮き飛車と桂頭を攻める順が回り、相手の反撃を余して勝った。▲2九飛は動かなかったが、この飛車の横効きでこちらに詰めろがかからない形となったのが勝ちをもたらした。

第2戦は私の後手。初手に▲3六歩と指されビビる。さすがに△3四歩と応じたがその後▲4八銀から銀を繰り出され、▲3八飛から3筋の集中突破の形を作られた。わたしは甘く見ていたのだが途中でここせ(=相手にとって一番都合のいい手、ここを指せの意味)をしてしまい、角損となった。仕方がないので角を取られる最中に私は△7三桂か△ら6五桂、△5七桂不成で金のふんどしをかけ、△4九桂成、▲同玉、△4六歩、▲同歩、△4七歩と怪しく迫った。その後相手の緩手もあって逆転勝利となった。相手は対局中に「ああ、こんないい将棋を台無しにするなんて」とぼやいていたが、そんなボヤキをするようでは勝負に勝てないだろう。

第3戦も私の後手。この5局の相手のうち、唯一、相手が私より確実に若い人だった。▲7六歩、△8四歩に3手目、▲6六歩と指してきた。こちらが角道を開けていないのすぐにこの歩を突くのは変わった指し方だなと思った。戦形は私が居飛車、相手が四間飛車の対抗系となった。私は居飛車穴熊にでも組んでゆっくり戦おうと思っていたが、相手が▲5六銀から▲4五銀の玉頭銀できたために目論見がくずれ、やむをえず△7五歩、▲同歩、△7二飛で迎え撃つことにした。このあたり、序盤で相手は自分の手番のときにスマートフォンをしきりに見ている。まさかカンニング(チート)はしていないだろうと思いつつ、気分が悪かった。そういうときは私にも考えがある。相手がスマートフォンに目を向けたそのときに、こちらの手を指すのだ。これで相手はわずかだが動揺する。このわずかの動揺が蓄積すれば相手はきっと悪手を指すだろう。将棋のマナーとしてはどうか、ということもあるが、スマートフォンを対局中に見るほうがよっぽどマナーが悪いだろう。それはともかく、こちらが駒得に成功した。相手は5筋から猛攻をかけてきたがこちらが余して無事勝利した。感想戦をしたのはこの対局のみ。相手は5筋で攻めきれると思っていたようで、こちらは余せるという思惑があり、この見解の違いから5分ほど駒を動かしたりしていた。別の順ならもう少し長くなりそうですね、ということで一致した。

第4戦は先手後手のいずれか、はっきりとは覚えていない。たぶん先手だったと思う。相手は舌を頻繁に出す癖のある人で、それが気になって将棋には今一つ身が入らなかった。最初相手は角道を止めたので振り飛車をしてくるかと思ったら、そのまま左美濃に組んだ。私も矢倉で応じ、相手も矢倉に組み替えたので相矢倉の戦形になった。相手は角の睨みで私の飛車をけん制する作戦で、さればと私は▲1七香、▲1八飛のスズメ刺しのかたちをつくり、1筋の歩を交換することにした。歩交換で十分と思ったが相手は香車の交換にまで応じたのだがこれが私にとってはラッキーだった。相手は攻めの形だったが懲り型だったのでこちらの交換したばかりの香車と向こうの攻めの銀の交換に成功し、さらに手ごまにした銀を割り打ちに使って金との交換にも成功した。このわらしべ長者攻めが続き、相手の奇癖にもかかわらず勝ちを呼び込めた。わりあい相手は早々と投了した。

第5戦は私の先手。角交換型の居飛車から私の早繰り銀に相手が腰掛銀で対抗した。私は早々と飛車先の銀の交換に成功し指しやすいと感じた。ところがどっこい、相手が自玉をにらむ自陣角を打ち、自玉頭への継ぎ歩攻撃を開始したとたん、私の玉は息も絶え絶えになってしまった。こんなはずではなかったと後悔し、▲7八角という、自陣の生角を投入してまで防御に専念するが、いつのまにやら銀香損となっている。それでも怪しい手を出して粘っていると、相手も攻めがゆっくりでよいと思ったらしく、こちらが不利ではあるが何が何だかわからない将棋になっていた。その後はお互いに勝ち切るチャンスを何度も逃すが、最後に私が相手の金駒を全部はがす順で即詰みに打ち取った。最初受け一方に打った筋違の▲7八角が、▲9六角、▲7八角、▲3四角と何度も動き、最後に▲6一角成で決まったとき、やっと角に(心の中で)「ご苦労様でした」ねぎらいのことばをかけた。