まりんきょの音楽室

チェロを背負って地下鉄の駅に向かう階段を下っていた。階段は右側通行だったので手すりにつかまりながら向かって右側を歩いていた。正面に、地下鉄の駅から出てくるばあさんが階段を上っていた。ばあさんは向かって左側を歩いていた。どうなるか。このままならば正面衝突する。私はばあさんをにらむ。ばあさんも私をにらむ。結局、年の功を考え私が左に逸れ、衝突を回避した。

ばあさんは思っているだろう。何で私がよけなければいけないんだ、こんなでかい男がさらにでかいわけのわからん荷物を背負って私に向かってくるとはなんという神経なんだ、思いやりの心がないのか、などなど。

仕方ない。今日はあきらめたが、明日はあきらめない。もっと年をとって、相手に譲らせてやる。今に見ていろ。