嫉妬する2019/01/27 21:40:07

きょう、オーケストラの演奏会に行ってきた。そのことは別のところで書く。ここで書くのは嫉妬のことだ。

ナポレオンは「余の辞書に不可能という文字はない」と言ったという。これは誤訳であり本当に言ったのはそんなことではないとか、はなからそんなこと言っていないとか諸説ある。これをもじっていえば、私の辞書のうち、嫉妬を意味する単語は全体の2割から3割を占める。

嫉妬を覚えたのは、ここのオーケストラのある団員を見た時だ。私はここのオーケストラを10回以上聴きに行っているので、見知った顔もいる。今日、舞台に出てきた団員のうち、ある一人に見覚えがあった。その人を見ていて、あるできごとを思い出し、合わせてその人に抱いた嫉妬心をも思い出した。

かなり昔のことだ。私はある合奏団(オーケストラとは呼ばない)に所属していた。この合奏団の演奏会をするときヴァイオリンの人数が足りなかったので、ヴァイオリン弾き何人かに手伝ってもらった(いわゆるエキストラである)。そのうちの一人が、このオーケストラの団員のヴァイオリニストだった。このヴァイオリニスト氏は非常に達者だった。どう達者だったかというと、個人練習中に弾いていたのが、難曲、バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番ト短調のフーガだったからだ。驚いたことに、氏はこの難曲をまるで鼻歌でも歌うかのようにスイスイと、しかも楽しそうに弾きこなしていたからだ。私はこの姿勢に脱帽し、それが嫉妬へと変わっていった。

昔のことだからそれきりで忘れていたのだけれど、今回氏の顔を見て改めてそのときの驚きと嫉妬を思い出した。

淡交フィルハーモニー管弦楽団第63回定期演奏会2019/01/27 21:44:15

標記の演奏会に今日行ってきた。場所はタワーホール船堀である。
曲目は次の通り。
 メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
 チャイコフスキー:交響曲第2番「小ロシア」
通常前半は序曲+組曲という組み合わせが一般的なので、前半にも交響曲がある交響曲2曲という構成は重く感じる。とはいえ、前半が「イタリア」なので、一般的な構成に近いとはいえるだろう。

私は「にせ」クラシック音楽好きなので、メンデルスゾーンがどうも楽しめないと思い込んでいる。なのだけれど、実演に没入して聴くと結構楽しいので、いったい自分がメンデルスゾーンに抱いている思いは何なんだろう、と疑念を抱く。今回の「イタリア」も没入して聴いた。
そうして聴くと今度は演奏の細部が気になる。たとえば弦の刻みのそろい方だとかが、ところどころひっかかるのだ。このような刻みはオーケストラにとっては報われないのかもしれない。きちんと合えばそれが当然で心地よく通り過ぎていくのだが、ちょっとずれるとそこに私のようなバカな聴衆がいて引っかかるのだから。でも、そんなことは何でもないのだろう。そんなこと以外は何もなかった。だから、今回の演奏は良かった。大過なく気持ちよく通り過ぎることが、メンデルスゾーンの音楽には一番大切だ、と私は思っているからだ。

私はチャイコフスキーの音楽を、ただ楽しいだけでおセンチなだけの音楽だと思っている。これも、私がクラシック愛好家のなかで「にせ」を冠せられてしまう理由になるだろう。さて、今回の実演を聞いて、チャイコフスキーの6つの交響曲は実演ですべて聞いたことになる(なお、マンフレッドも聞いたことがある)。有名でない、第1、第2、第3の交響曲の印象は、「すぐにメロディーは思い出せないけれど、やっぱり節回しがチャイコフスキーだなあ。第4から第6のどこかと似ている。」ということだった(マンフレッドは聞いたのは遠い昔なので思い出せない)。でも、楽しくておセンチならばそれで十分、ともいえる。

アンコールはチャイコフスキーのバレエ「白鳥の湖」から「ナポリの踊り」。イタリアとチャイコフスキーの掛け算なのだろう。トランペットソロが素敵だった。