「拳拳服膺」という四字熟語を知る ― 2025/03/05 10:25:16
あることがきっかけで「拳拳服膺」という四字熟語があることを知った。「けんけんふくよう」と読むらしい。意味は、手許の「明鏡国語辞典(第2版)」で調べると、「両手で物をささげ持つように、しっかりと心に銘じて守り行うこと」という意味だとわかった。この最後の「膺」という字がわからないですね。「角川新字源」でこの字を調べた。最初は「まだれ」で調べたら「にくづき」に飛ばされた。それはともかく、この「膺」の字は『肉と、音符ヨウとから成り、肋骨で囲まれた「むね」の意を表わす。』とあった。音符ヨウにも漢字が添えられていたが、どうも該当する字が見当たらない。
そういえば高校の同級生に「けんけん」というあだ名のやつがいた。卒業後十数年後にクラス会があり、久しぶりに顔を合わせたら体格が変わっていた。本人曰く「二十キロ太った」と言っていた。
男女共通の名前を考える ― 2025/02/11 21:40:22
ある人と話していて、たまたま庄司薫の話になった。その人は、「庄司薫、という名前は聞いたことがあったけれど、薫だからてっきり女だと思っていた」ということを言っていた。それはまあ確かに、俳優に八千草薫という女性はいたけれど、同じく俳優で小林薫という男性もいる。薫は男女どちらともある名前といっていいだろう。
ちなみに八千草薫の本名は谷口瞳である。瞳という名前は女性に多いような気がするが、作家で山口瞳(本名)がいたから、やはりこれも男女どちらも使える名前だと思う。
昔、夫婦別姓を議論するときに「荒川静香と亀井静香が結婚したら、同姓同名になってしまうではないか」という話題を出した人がいたと記憶する。今ならば、「浅田真央と藤田真央が結婚したら同姓同名になってしまう!」といって騒ぐ人が出るかもしれない(俺だけか)。なお、荒川静香も浅田真央もスケート選手だが、これは偶然だ。
どんな国でも男に多い名前、女に多い名前、男と女どちらもある名前というのはあると思う。はるか昔、ラジオのスペイン語講座を聞いていた時、初級では男と女の会話で構成されていたが、その会話は一週間ごとに男の名前と女の名前が入れ替わるのだった。講師曰く、スペイン語圏の名前にはどんな名前があるのかも含めて親しんでもらいたい、ということを言っていた。スペイン語講座で覚えているのはこれとあと一つだけである。
これはラジオかテレビか忘れたが、フランス語教室の番組で、フランスで男女ともに使われる名前にパスカルがある、ということを言っていたような気がする。それにパスカルは名だけでなく、姓としても使われる。
「1ミリも興味ない」という表現を調べる ― 2025/01/17 22:59:38
最近、「1ミリも興味ない」など、少しも、全く、・・・ないという意味で、「1ミリも」という強意表現をよく見る。これについて私が気になっていたことが2点あって、それはほかの人も言っている。その2点とは次の通りである。
- ミリがかかる単位が不明確である
- ミリの他にも小さいことを意味する接頭辞が多数あるのに、ミリだけ使われる理由がわからない
第1の理由については、本来ミリという接頭辞は単位と合わせて初めて正しい使い方になる。普通、暗黙の了解で単にミリと言ったときはミリメートル(mm)のことだが、物理でお分かりの通り、ミリはメートルだけでなく、質量を表すグラム、時間を表す秒、電流を表すアンペア、および国際単位系(SI)で規定されている組立単位のあらゆる単位に付けることが可能である。この単位が略されていては意味がない。
第2の理由については、SIで規定されている接頭辞がほかにも多くあることだ。0.001倍を表すミリは、0.1倍を表すデシ、0.01倍を表すセンチより小さいものを表せるが、さらに小さいものを表す接頭辞に、マイクロ、ナノ、ピコ、フェムト、アトなどがある。静電容量を表すファラドは、平気でナノファラド、ピコファラドなどを使う。パルスレーザーの中にはフェムト秒単位でパルスを制御できるものもある。
ともあれ、私は使わないことにする。
なお、この用法についてはレファレンス共同データベースの資料も参考になる。 「1ミリも興味ない」という表現があるが、なぜミリなのか、語源や表現ができたきっかけなどあるのか知りたい。(crd.ndl.go.jp)
旧奏楽堂の入口表示に驚く ― 2024/09/11 11:19:48
先週の土曜日、旧奏楽堂で演奏会に出演したときのことをブログに記した。私は出演者であったので、朝から準備のため旧奏楽堂の裏口から入った。すると、入口の案内板に驚くべきことが書いてあった。
旧東京音楽学校奏楽堂左翼家入口
この左翼家とは何だろうか。左翼に属する活動家のことだろうか。私は左翼でもなく、活動家でもないから困ってしまったが、とりあえず入ることに決めた。左手のドアはちょっとガタついていたが問題なく開き、入ったあとは閉じることができた。よかった。
あとで調べると、この左右対称の作りになっている旧奏楽堂は正面玄関に向って右側が左翼家と、左側が右翼家と呼ばれていることがわかった。私が入ったのは左翼家の裏口からであった、というわけだ。 そういうことならば、右翼家入口もあったかもしれないが、見当たらなかった。立ち入り禁止区域にあるためかもしれない。
三羽烏を考える ― 2024/07/23 23:59:59
わたしの身近にいる人がら、こんな話を聞いた。「日本語で二人を表すときは双璧、三人を表すときは三羽烏、四人を表すときは四天王と、言い方がそれぞれ違うんだね」。たしかにそうだ。私が三羽烏ということばを知った最初が囲碁棋士のことで、「アプレゲール三羽烏」という名前で紹介された藤沢秀行、山部俊郎、梶原武雄を指す。それにしても、囲碁はほとんど知らないのになぜ「アプレゲール三羽烏」なんてことばを覚えているのか、不思議だ。
ちなみに五人以上は単に「五人組」「六人組」だろう。もっとも「四人組」というのもあって、これを固有名詞として使うと中国の 江青 ・ 張春橋 ・ 姚文元 ・ 王洪文を指す四人組だろう。五人組、六人組も、音楽の分野で特定のグループ・作曲家を指すことがある。
レオンコロ・カルテットのラズモフスキー第1番を聴く ― 2024/06/28 22:45:22
レオンコロ・カルテットのベートーヴェン「ラズモフスキー第1番」を聞いた。レオンコロというのは Leonkoro と綴り、「ライオンの心」という意味のエスペラントである。ラズモフスキー第1番もなかなかよかった。
相うな重ということばを初めて知る ― 2024/03/28 23:06:32
将棋であることばを調べていたら、Wikipedia に将棋用語一覧という項目があった。最初の用語と説明を見てのけぞった。
- 相-(あい-)
- 双方が同じような陣形になる戦型や局面の状態を表す接頭辞。俗に盤上以外の事柄にも用いられる。〈例〉相居飛車、相振り飛車、相穴熊、相入玉、相うな重など。
なんだ、この相うな重
というのは、将棋用語なのか。説明を最後まで読んで得心した。俗に盤上以外の事柄にも用いられる。
とあるから、これはきっと、昼か晩の休憩で棋士が出前をとったとき、両対局者の注文がともにうな重であることを指すのだろう。うな重といえば、加藤一二三九段の専売特許だから、加藤九段の相手もうな重を頼んだら相うな重が実現するというわけか。
リハーサルマークのフォネティックコードを再度考える ― 2023/09/27 21:22:34
以前、リハーサルマークのフォネティックコードを考える、という記事を書いた。作曲家の名前でフォネティックコードを作るにはどんな作曲家が適当かという主旨であった。さて、オーケストラの練習に参加しているとき、指揮者がどのようにフォネティックコードを言っているかが気になった。あるとき、「ABCのB、あ、これは意味ありませんね。ベートーベンのB!」と言ったことがあった。これはかわいい。しばらくして進んだらつっかえた。すると指揮者は「グスタフのG!」と叫んだ。そういえば、グスタフのGは、前にも別の指揮者で聞いたことがある。指揮者はやっぱり、グスタフ・マーラーが好きなのだろうか。グリーグのGとか、ガーシュウィンのGとか、聞いたことがないしなあ。
クーラーといってしまう ― 2023/08/28 23:59:59
私がつくづく昔の人間だと痛感することがいくつかある。その一つは、空調の冷房をかけようとするとき、「クーラーをつける」と言ってしまうことである。「クーラー」というのは「ナイター」や「ガソリンスタンド」と同じく、和製英語である。だから、英語を普段から使う人と話す必要があるときのために、「ナイトゲーム」とか「ガスステーション」などと同じように普段から「エア・コンディショナー」と言わないといけない。私にはそんな強迫観念がある。しかし、やはり夏の暑いときに効くのは「エアコン」ではなく「クーラー」である。「クーラー」ということばでないと、効かないのだ。困ったことだ。「エアコン」だって和製英語だと主張して、クーラーの妥当性を信じている老人がここにいる。
質問する ― 2023/07/29 13:07:29
今日は1年に1回、出席しなければならない会議に出た。昔、会社の上司に「会議に出席するのなら必ず1回は質問でもいいから発言するように。発言しない会議は意味がない」と言われたことがあった。私が仕えてきた上司は何十人もいるのでどの上司だったかさっぱり覚えていないが、言われたことだけは覚えていて、ほぼこの教えを守るようにしている。
別にたいした質問をしているわけではない。かといって「今何時ですか」という質問をするわけにもいかない。だから、当たり障りのない質問になる。私がよく使う手は、「議題に●●とありますが、これは具体的にはどういうことですか」という質問だ。紙に書かれた議題がなければ、誰かの発言を受けて「今の発言で〇〇ということでしたが、これは具体的にはどういうことですか」という質問に変える。これが具体的な成果を生むわけでもなんでもないのだが、回答者が話好きの人だと、具体的な直接の答のほかに関連する(あるいは関連しない)情報も伝えてくれるので、これがうれしいわけだ。
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