組曲「ドリー」管弦楽版のチェロパート譜の誤植に悩む ― 2024/11/26 22:33:53
必要があって、フォーレ作曲、ラボー編曲の組曲「ドリー」管弦楽版を見ている。第6曲の「スペインの踊り」で、チェロパート譜の最後のページを見てみると、pizz. がずっと指示されていて arco になっていないのに、練習記号7でダウンボウの指定がある。これはおかしい。スコアを見たらわかるだろう、と思ったら、IMSLP のスコアでも arco の指定が落ちている。
一つの可能性は、練習記号6からはずっとpiz.. でひっぱって、7 でarco になるというもの、もう一つの可能性は練習記号 6 から 8 小節は pizz で、次の ff からarco になるというものだ。後者の可能性が高いと私は思う。というのは本曲冒頭の音形では練習記号1からarcoになっていて、これが練習記号6からの9小節めとほぼ同一だからだ。この最初のほうも少しおかしくて、練習記号1 で arco の指定があってその後 pizz. がないのに練習記号2で再度arcoの支持がある。
こうやって見比べると別の誤植も発見した。練習記号2の2小節前、2拍めはBだが全音上のCが正しい。 正しいスコアがほしい!
コメント
_ シモフリ ― 2024/11/27 15:01:38
_ marinkyo ― 2024/11/27 23:36:23
練習記号 6 からの 9 小節は arco にした場合、そこでの ff はやりすぎと感じます。ここでもまだ pizz. ならばアクセントの意味で ff と書いたということで納得がいきます。また、7の前後で休符を入れたのは、チェロの弓の持ち替えが発生しても困らないように、という親切心ゆえ、7でarco という推理には恐れ入りました。そして、チェロの旋律が原曲の Primo 左手をなぞっているのはわかりました。ただヴィオラはヴァイオリンの1オクターブ下を同じ動きで支えているので、これは原曲への忠実性より編曲上の必要で入れたからということでしょうか。一方で練習記号2のほうは、冒頭のCのオクターブ跳躍を除いてチェロはヴィオラと同じ音をなぞっているので、考えれば考えるほどわからなくなりますが、きっとラボーにはそれなりの考えがあったのでしょう。たとえば和声の動きが練習記号7以降のほうが複雑だから弦を少し軽くするのがいいとか。
結局は指揮者に丸投げしそうです。
_ シモフリ ― 2024/11/28 01:38:36
練習番号7から4小節目のソラファソがチェロから抜けていることを気にされているようですね。確かに気になります。2つ目のテーマは再現した練習番号7の方が、確かに色々複雑に書かれています。管楽器に割り当てられている、2番ピアノが持っている下降音階は再現部にしかありませんが、そのせいか4小節ひとまとまりでdim.しているようにも聞こえます。ソラファソは、旋律単体だとアウフタクト的に弾きたくなりますが、むしろ収めて欲しいという意図に見えなくもありません。チェロが省略されているのは、そこら辺の音響を踏まえて、初演のリハーサルで削除された、といった類の事情かもしれません。
その後の、練習番号7から9小節目にある1stヴァイオリンのpの位置が、アウフタクトからではなく小節頭からになっているのも原曲との相違点の一つですが、やはり4小節でひとまとまりの音響への執着なのでしょうか。
もちろん私たちが勝手に妄想しているだけで、ただの誤植でラボ―自身はそんな細かいことなど気にしてはいないのかもしれませんが。
我々は役者になることに専念して、探偵の仕事は指揮者に譲ることにしましょう。
_ marinkyo ― 2024/11/28 21:41:11
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さて、pizz.arco問題ですが、ここのffは音量というよりアクセント的な意味に読めるので(練習番号6から13小節目はシングルf)、ここからarcoというのは少し不自然な感じがします。練習番号1ではコントラバスと一緒にarcoになっているので、練習番号7で一緒にarcoにする、というのも自然に思えますが、そもそもコントラバスのarcoが落ちているという可能性も考えられますし、もう指揮者に丸投げでいっか、、という気分です。
ただ2つ目のテーマ(練習番号2や7のような)で、unisonなのにチェロだけ旋律が省略されているのを見ると、弓の持ちかえがあるから、省略しないと難しいだろうという意図があるのではないか、という推理が光輝いて見えてきます。チェリストもなめられたものです。原曲でも2番ピアノの左手は旋律が省略されているのですが、よくよく見ると原曲を尊重したという意図でもなさそうです。
という訳で私は7からarco派です。頑張ってください。