中高年の受難を将棋棋士に見る2021/06/02 21:30:27

NHK の将棋番組で松尾歩八段と伊藤匠四段の対戦を見るに続いて、将棋の話題である。

最近日曜日は欠かさずNHK将棋トーナメントを見ている。私の感想では、このところの1回戦の対決は、計画していたかのように中高年-ベテラン対若手になっている。今まで放映された対局は次のとおりである。左がベテラン、右が若手である。ベテランどうしまたは若手どうしの場合はカッコをつけた。

1. 日浦市郎 池永天志
2. 松尾歩  伊藤匠
(宮本広志 出口若武)
3. 野月浩貴 佐々木大地
4. 横山泰明 青嶋未来
(八代弥 西山朋佳)
5. 久保利明 服部慎一郎
6. 木村一基 斎藤明日斗
7. 飯島栄治 大橋貴洸

このなかで、横山泰明七段をベテランとしたが、ちょっと早まったかもしれない。それはともかく、この7局中でベテランが勝ったのは1, 2, 7 の3局である。あれ、3局も勝っているのか、と思ったほどだ。1.の日浦・池永戦は、中盤の仕掛けて日浦が優位にたったが終盤でもたつき、池永の猛追をかろうじてかわした一局だった。2. は松尾の完勝といっていいだろう。7. は大橋が中盤以降終始押していたが、大橋の見落としで飯島が体を入れ替え勝利をもぎ取ったものだった。

ではベテランが落とした4局はどうだっただろう。3. は野月がうまく仕掛けたが佐々木が決め手を与えず、野月の緩手に乗じて佐々木が勝ちを収めた。4. は横山が巧妙に攻めたかに見えたが青嶋は玉の広さをうまく使って横山の攻めを遅らせ、逆に穴熊玉を一気に仕留めた。5.は服部が久保の捌きを許さぬ鋭い攻めで余裕のある一手勝ちとなった。6.は斎藤が後手番にもかかわらず自玉に近い歩を突いて攻めを開始し、受けの達人である木村の粘りを振り切った。

個々の将棋の評は以上である。全体を見ると、若手は勝つべくして勝っているのに対し、ベテランは若手のミスに乗じて辛うじて勝ったという印象が強い。本当はそうでもないのだろうが、共にタイトルを取ったことがある久保と木村の負け方が今でも残っているからなのだろう。

将棋は体力よりは知力を使うゲームだ。それでも、ベテランより若手が強いということは、なんとプロの将棋は残酷なゲームなのだろう。 そういえば、最近ある若手の将棋プロが言うには、ベテランとは25歳以上のことだそうだ。

私が若かったころを思い出した。ある同僚は、本社でたくさんいる副部長を一掃すればいいと叫んだ。別の同僚は、会社のお偉いさんより自分のほうが絶対成果を出しているのだからもっと給料をもらっていいはずだと息巻いていた。私は黙っていたが、それは自分がそれほど成果を出しているとは思っていなかったからだ。

自分が中高年になった今はどうか。中高年みんなが不当に給料を高くもらっているとは思わない。ただ、不当に高い給料をもらっている中高年は、確実にいるとは思う。当たり前か。

こんなことを書くと気がめいってくる。私は、将棋が弱いし、おまけに中高年だ。それでも、きっと生きる意味があるだろうと信じて、明日を迎えることにする。