フォーレの「ピアノとオーケストラのための幻想曲」を調べる(4) ― 2020/06/11 23:00:00
今回は練習記号3、41小節から調べる。なお、練習記号については、1, 2, 3 で振られている版(ここで使っている Calmus)のほか、A, B, C で振られている版もあることを付記しておく。
この練習記号3の譜面を掲げた。ここではハープを除いたすべての楽器が音を出しているのだが、管楽器と打楽器のパートは省略する。
ここでは、41小節がオーケストラの和声とともに、低音楽器のVc 、Cb と譜面にないファゴットによってAの主題の前半が歌われている。そしてすぐにそのアウフタクトをピアノが引き取ってAの主題の後半を奏でている。このような受け渡しがあるのだが、私は楽譜を見て初めてわかったので、実際に音を聞いていると木に竹を接いだような気がして主題の引継ぎがなされているとは正直わからなかった。その次にBの主題をオーケストラがニ長調で2小節にわたり奏する。そのあとは再度Aの主題が上記譜面から長2度下げられて再現し、ふたたびBの主題がニ長調で再現する。調性の規則性は捉えがたい。
さて、独奏ピアノは、上記のような譜面で、右手の6連符と左手の付点8分+16分音符をどのように配分して弾くだろうか。ふつうは六連符の第5音と第6音(この場合は六連符の最初が休符であるがここも第1音があると仮定する)に16分音符をはさめばよいだろう。しかし、そのようにして正確にピアニストは弾けるだろうか。プロなのだから弾けるのだろうけれど、「はさめばよい」と思った瞬間に付点が甘くなる危惧がある(少なくとも私はそうだ)。ただでさえ、リズムが錯綜して付点が甘くなりがちだ。左手の16分音符は、右手の6連符の第6音と同時に弾くぐらいの意識で、つまり付点8分+16分は、譜面上の3:1ではんなく、5:1ぐらいの意識をするぐらいのバイアスをかけておけば、音にした結果がちょうどよいのではないか。
話はそれるが、クラシック音楽を学んでいていつも先生に叱責されるのは、3:1の付点音符がいつも2:1に甘くなっている、というのである。日本人は音頭で育ったから癖が抜けない、などとまで言われる。それはもっともなのだけれど、けっこう外国の録音を聴いていても(私が思い出すのは、フォーレのピアノと弦のための四重奏曲第1番の終楽章だ)、速めに弾く団体はだいたいこの付点音符が甘くなり、ひどいときにはついには付点がついてことすらわからなくなっている。だから、付点が甘くなったっていいではないかと私は思う。
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