バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043を聴く2022/03/01 19:14:19

取りためていたビデオで、バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043 を聴いた。クラシックの人たちで単に「ドッペル」といえば、おそらくブラームスのヴァイオリンとチェロのための協奏曲を思い出すだろう。しかし、私は弦楽合奏を愛する人間であるから、ブラームスよりこちらのバッハの協奏曲がまず思い浮かぶ。このドッペルは、まったくもって、間然する所がない、真の名曲であると思う。私がこのように言っても何の役にも立たないが、ともかく言っておく。私が所属していた八重洲室内アンサンブルでも、この曲を演奏したことがある。

さて、八重洲室内アンサンブルではない、別の団体にいたときの話だ。この団体の弦楽仲間で、いくつか曲を披露する場が出たので、誰かがこの曲を候補に持ってきた。第1楽章だけ弾いてみたのだが、独奏者の一人が弾き終えて「長い」とため息をついた。もちろん、独奏者も、他の仲間も、私を除いてはレベルが高い人たちだから技術上の問題はない。そして、この第1楽章も 5 分前後だからさほど長くはない。ただ、体感として長く感じたのだろう。そう思う理由は、この曲の密度が高いからだったに違いない。私は、「この曲を本番で弾きたいが、皆の意見に従う。ただ、この曲は音楽の基礎体力を鍛える意味で必要だから、練習メニューに載せておくべきだ」という意見を述べた。結局、本番ではこの曲ではない、別の曲を含むセットになった。採用しなかった理由は、聴衆になじみがないことが一番だった。その後、私はこの団体を去ることになった。この曲を練習したことなど、もう皆忘れてしまったに違いない。

この曲に戻る。私がこの協奏曲で一番好きなのは、第3楽章の72小節からだ。伴奏が冒頭のダグテュロス風のリズムを刻むなか、独奏ヴァイオリンの一つが細かな16音符を、もう一つが息長く歌う音符をからめて進む。ここは何度聴いてもいい。

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