フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲を見る(6) ― 2025/06/11 22:49:52
前回からだいぶ日が経過してしまった。フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲を見る(6)は第6曲の「スペイン舞曲」である。最終曲になってやっとすっきり速い曲である。金管や打楽器が大活躍するのもたのしい。なお、この編曲のダイナミクスにはいろいろと突っ込みたいところがあるので、それは追って時間があれば記す。
フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲を見る(5) ― 2025/05/21 22:21:51
フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲(5)として5曲目の『優しさ(タンドレス)』をとり上げる。私見では、ドリー全6曲のうち、最もフォーレらしさが出ている曲ではないかと思う。
主部はのらりくらりとして(音楽のたとえにのらりくらりというのもおかしいが)つかみどころがない。管弦楽配置でいうと、メロディーをVn1とVn2だけでなく、チェロもdivisitの上がメロディーを奏している。この上のチェロは音域が結構高いので大変だ。ほかに和声を担当するのはCl, Fg(バソンというべきか), Tb, Hr, Va, Cb である。と中間部は一番オーボエと一番ホルンがカノンの先と後を担当する。音楽の流れはハープが作る。主部が戻ったあと、ごく短いコーダがついて終わる。
フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲を見る(4) ― 2025/05/20 23:23:54
フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲(4)として4曲目の『キティ・ヴァルス』をとり上げる。解説でたびたび言及されるように、フォーレはケティ・ヴァルスという表題だった。ドリーが飼っていた子犬の名前からとったのだが、出版社がキティとしてしまったので、猫のワルツのような誤解を与えて今日に至っている。キティがここでも出てくると過労キティになってしまう。
主部は4小節+2小節の動機なので、メロディーは滑らかなのに少し落ち着かない印象を与える。中間部は解決しない3拍子部分とヘミオラが延々と続く噛み合わせ部分からなる。全6曲のなかでは一番あっさりとしている。
フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲を見る(3) ― 2025/05/19 21:43:12
フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲(2)として3曲目の『ドリーの』をとり上げる。主部は3拍子×2小節が動機をなすが、私の耳には2拍子×3小節のようにも聞こえる。ハーモニーの維持にはハープが一貫して用いられている。中間部はハープが休み、ハーモニーは弦や木管が担う。私が好きなのは25小節からの2番フルートと1番2番クラリネットによる伴奏だ。ここに来ると胸がきゅんとなる。
フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲を見る(2) ― 2025/05/18 10:45:11
きょうは、フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲(2)として2曲目の『ミ-ア-ウ』をとり上げる。主部はヘミオラがいたるところで顔を出す。中間部では分散和音と跳ねるリズムの組み合わせが楽しい。コーダの開始はチェロに支えられたホルン4部のコラールで、私はここの部分が特に気に入っている。
フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲を見る(1) ― 2025/05/13 22:19:23
フォーレの連弾曲「ドリー」は、アンリ・ラボーによって管弦楽に編曲されている。
オーケストラ編曲だから、音は原曲より多くなる。元の旋律をどの楽器が担当しているか、多くなった音はどの楽器が奏しているか、比べるのが楽しい。
今日は第1曲「子守歌(子守唄)」を見てみよう。冒頭から数小節は、原曲 Primo 相当部は木管が、Secondo 相当部は弦が担当している。そして原曲になり H のロングトーンを吹いているのが2番ホルンだ。そのホルンが消えるとこんどはファゴットが Fis のロングトーンを吹いている。こういうところが管弦楽のいいところだ。第一主題の繰り返される箇所になると多少役割が入れ替わり、Primo をVn1,2が、Secondo の右手を木管が担当する。さらに中間部の前までに管と弦がいろいろ役割を変えていく。中間部からはメロディーの Primo がフルートに、ベースとハーモニーのSeconda が弦とハープになる。その後、メロディーがフルートからオーボエに、分散和音がハープからクラリネットに受け継がれる。
中間部の終わりでメロディーが1stと2ndVnに受け継がれたあと、第1主題がホルンから他の木管楽器に受け継がれるが、最後のメロディーはやはりホルンがひきとる。「ドリー」はフォーレの中では穏健な作品で、なかでも第1曲は2拍子で「子守歌」という名前のとおり、あえてある程度の単調さを維持した曲となっている。
越谷市民交響楽団がフォーレの組曲『ドリー』を演奏することを知る ― 2025/05/12 07:20:04
私が住んでいる越谷市に、越谷市民交響楽団というアマチュアのオーケストラがある。今度の演奏会の曲目を、越谷市民交響楽団のホームページhttp://koshikyou.s8.xrea.com から転載する。
■■ 第42回定期演奏会 ■■ 2025年 6月14日(土) 開場 15時15分 開演 16時00分 越谷サンシティホール 大ホール ベルリオーズ:ラコッツィ行進曲 フォーレ:組曲「ドリー」 ベルリオーズ:幻想交響曲 指揮:佐藤雄一 入場料 当日券1,000円 前売券800円 全席自由 未就学児入場不可 ロビーコンサート15時25分(予定)より開催
問い合わせは越谷市民交響楽団まで。
Koshigaya_s_o@yahoo.co.jp
前売り券はテケトで発売されている。
https://teket.jp/1027/45477
ベルリオーズの『幻想交響曲』をアマチュアでやるのは大変だと思う。私が興味があるのがフォーレの『ドリー』で、たぶんアンリ・ラボーの管弦楽編曲によるものだろう。
フォーレの「主題と変奏」を聴く ― 2025/04/17 22:57:06
フォーレの「主題と変奏」を久しぶりに聴いた。ジャン=フィリップ・コラールの演奏である。リズムの趣味が俺とは合わないが、それでもいい曲だ。
フォーレの歌曲集『幻影』を聴く ― 2025/04/07 22:58:17
フォーレの歌曲集『幻影』を聴いた。『蜃気楼』と訳される場合もあるこの歌曲集は、やはり歌曲集『閉ざされた庭』に比べて一曲が長いためか、一つの歌でいろいろな相貌が現れる。特に、第2曲 『水に映る影』の後半で、一度歌のみとなりピアノ伴奏が途切れたのち、3連符を刻むところにフォーレの真骨頂を見る。
フォーレの『春の使い』を聴く ― 2025/04/05 12:27:06
きのうはエレファントカシマシの『上野の山』について書いた。春つながり、4月つながりなので、フォーレの歌曲集『閉ざされた庭』(『閉じられた庭』)に収められた『春の使い』(『使いの女』、" La messagère")を聴いてみた。冒頭のピアノの分散和音に乗って、"Avril" と単刀直入に歌う明るさが好きだ。カミーユ・モラーヌの歌唱がいい。
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