河村尚子 ピアノリサイタル2017/01/14 17:13

南越谷サンシティホールで、河村尚子のピアノリサイタルを聴いた。曲目は以下の通り。

  • モーツァルト ピアノソナタ ヘ長調 K.332
  • メシアン 前奏曲集より「鳩」
  • ベートーヴェン ピアノソナタ第32番ハ短調 Op.111
  • ショパン 前奏曲集 Op.28

モーツァルトはあくまで軽く、心地良い流れの演奏だった。

メシアンはごく初期の作品でむしろドビュッシーの前奏曲集の香りがした。最後近くのオクターブが後の作品を予感させた。

ベートーヴェンは第一楽章の迫力と第二楽章の多様性が際立っていた。

ショパンの前奏曲集を通しで聞くのは別のピアニストでもあり、 今回が確か3度めである。河村さんはさすがの迫力であり、 第17番のクライマックスでの低音の厚み、 第24番でのたたみかける力には圧倒された。 ただ、私の好みの第5番が少し崩れてしまったのが残念だった。

アンコールはスカルラッティのソナタ ヘ長調 K.17 。 絶品であった。

TISインテックグループ楽友会 第3回演奏会2017/01/08 23:59

TISインテックグループ楽友会による第3回演奏会が、 北とぴあのさくらホールで開かれた。 私は第1部の吹奏楽を聴いた。 第2部の管弦楽では舞台に乗った。お越しになった方々に感謝する。

第1部の吹奏楽は、 昨年この楽友会が初めて吹奏楽コンクールに出た時の課題曲と自由曲から始まった。 そして、アフリカンシンフォニー、シング・シング・シングと続き、 伝説のアニメメドレーで締めくくった。
私は楽友会の会員であり、第2部に出るということもあるので、 客席ではなく楽屋のモニターから見聞きしていた。 吹奏楽は、管弦楽より派手でかっこいい。そこをうらやましく思った。 もっとも、吹奏楽の人たちは、 管弦楽でやってみたいという人も多いだろう。

第2部は私がチェロで舞台に出た。「こうもり」序曲、 ダッタン人の踊り、組曲「眠りの森の美女」という、 クラシック好きには知られている曲である。 チェロの出来は他の人はともかく、私はまだまだであった。 眠りの森の美女の最後のワルツの旋律を楽譜で示す。

第4回は、2018年1月28日(日曜日)、 ティアラこうとう大ホールで行なう予定である。

ブラームスのピアノ協奏曲2016/12/25 23:20

藤原由紀乃独奏によるブラームスのピアノ協奏曲2曲を聴いた。オーケストラは東京アマデウス管弦楽団、指揮は川崎嘉昭、会場は第一生命ホール(トリトンスクエア)であった。

どちらも高校生の頃初めて聴いて、ブラームスの厚さと凄さを感じてとりこになっていたのだが、実演を聴くことはなかった。今回演奏会で聴いて、その厚さと凄さを実感した。

第1番は冒頭のティンパニのロールに圧倒される。この第1楽章は、おそらくピアノが冒頭で入らない協奏曲では最後のものだろう。それぐらいじらされるのだ。第2楽章、第3楽章も含めて、第1番はピアノとオーケストラの決闘という雰囲気が感じられる。ピアノはちょっとおぼつかない部分はあったけれど、オーケストラとの対決の力がみなぎっていた。

第2番は第1番よりお気楽であるが、力の持続はやはり必要である。クライマックスに行きそうで行かない、というべきだろうか。それとも複数あるクライマックスの尾根伝いを行くコースに例えるべきなのだろうか。第1楽章冒頭のホルン、第3楽章冒頭のチェロはまさにブラームスである。こちらのピアノにもあぶなっかしいところが聞こえてきたが、共同で大きなブラームス山に登っているという楽しさが伝わってきた。

アンコールはプロコフィエフの「トッカータ」。靭性の高い演奏だった。

越谷市民交響楽団 2016 しらこばと音楽祭2016/11/27 17:00

標記の演奏会に行ってきた。場所は越谷サンシティホール大ホール、14:00 開演であった。
プログラムは下記の通り。
ルロイ・アンダーソン そりすべり、シンコペイテッド・クロック、タイプライター、舞踏会の美女
ジョージ・ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
(休憩)
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調作品67「運命」

どれも楽しみな曲である。アンダーソンは作曲家の中でプロ中のプロだと思っている。客を喜ばせるツボを心得ているからだ。ガーシュウィンはクラシックという分野を破った功労者だ。そしてベートーヴェンは、そのクラシックの金字塔である。

そりすべりはなぜかクリスマスによく町中で聞こえてくる。そり→雪→サンタクロース→クリスマスという連想だろうか。それはともかく、打楽器群が楽しそうだ。鈴担当と鞭担当がはっきり見えた。あとはシロフォン(木琴)と鉄琴(グロッケンシュピール)もいたかな。ちなみに鞭は本物の鞭ではなくスラップ・スティックである。

シンコペイテッド・クロックはアンダーソンの代表作だ。なぜ断言するのか。それは、シンコペーションという、リズムのずれを最大限に活用したのがアンダーソンだと思うからだ。曲そのものは端正で、この曲そのものにシンコペーションはほとんど出てこない。ウッドブロックつきハイドン交響曲といった趣がある。

タイプライターはひところ、運動会のときによくかかっていた記憶がある(ひょっとしてトランペット吹きの休日と勘違いしているかもしれない)。今回の演奏では、3人の打楽器奏者が独奏者として指揮者の左、前列に登場していた。担当はそれぞれギロ、呼び鈴、そしてタイプライターであった。本当にこの曲も楽しい。

そして舞踏会の美女。私がいた弦楽合奏団でもよく弾いて、演奏効果が高い曲である。こうして私の幸福な時間が終わった。

ラプソディー・イン・ブルーは、なかなか生演奏で聴く機会がなかった。実をいうとあまりにも機会がないもので自分が所属するオーケストラで演奏会の曲目として提案してみたが、却下された。それはともかく、生演奏はいいものだ。私が聴いていた版と違うような気がしたが、そういうものなのだろう。

休憩後の運命は、脂が乗ったものだった。今年の初め、自分が所属するオーケストラで運命を担当して、死ぬほど苦労したのに、もうそんなことを忘れていた。

今まで演奏のことに触れずにいたのは、アマチュアのオーケストラなのであれやこれや言うのはよろしくないだろうと思ったからだ。それでもちょっとだけ記すとこんなことがあった。

運命は、ダダダダーン、のあと大太鼓の音が聞こえた。たしかに前半で使った大太鼓はあったがもちろん誰もいない。不思議に思っていたら少しして謎が解けた。大太鼓の音ではなく、指揮者が指揮台の上で片足を上げたあと下したときに出てくる音だった。卓球の試合を見ていると、選手がスマッシュするときに片足を強く踏み込むが、その結果床板を打ち付けるので大きな音が出るのがわかる。私が聞いたのは指揮者によるスマッシュの音だった。その後何回も指揮者のスマッシュ打音が聞こえてきた。

アンコールは、ルロイ・アンダーソンのクリスマス・フェスティバルであった。次の8曲のメドレーである。

1.もろびとこぞりて 
2.ひいらぎを飾ろう 
3.世の人忘るな
4.良きウェンセスラス王 
5.天(あめ)には栄え
6.神の御子は今宵しも
7.きよしこの夜 
8.ジングル・ベル

シュトラウス企画 修道女アンジェリカ 愛の妙薬2016/11/19 23:59

私はオペラをほとんど聞かないが、友人が出演するのでお誘いがあり、行くことにした。私一人では心細いので、オペラをよく知っている方をお誘いした。場所は大田区民プラザ大ホール(下丸子駅すぐ)、時間は18時30分からであった。タイトルはどちらもよく知られたオペラである。さすがにフルサイズのオーケストラは備えられず、ピアノとシンセサイザーをピットで演奏する形で行われた。また、愛の妙薬は抜粋であった。

修道女アンジェリカはプッチーニの歌劇である。私はオペラに疎いから、ヴェルディの音楽がオペラの基本だと思っている。そうするとプッチーニの音楽を聴いてたまげる。音楽にワーグナーの流れがそこかしこに入っている。そうするとさばさばした舞台なのに濃厚な空間が宿っているかのように見えるのだった。私がオペラを苦手とする原因は、いわゆるオペラの世界を体験するオペラ覚というのに欠けているからだろう。それでも、最後の、アンジェリカが自殺を決意するところ、そしてその決意を悔いるところは心を動かされた。

愛の妙薬はドニゼッティの歌劇である。確かこの歌劇にはアリア「人知れぬ涙」があるはずだと思っていたが、なかなか出てこない。さては誤った知識だったかと悔いていたら、やはりこのアリアが出てきて安心した。幸いこの歌唱は好評で、多くの拍手があった。私も拍手を惜しみなく送った。ちなみにこのアリアを歌ったネモリーノ役のテノールが、私の友人である。

時間も遅くなり、オペラをよく知っている方とは最後に少ししか話ができなかったのが残念である。この方の評では辛口なところもあったが、総じて満足していたようだった。

日墺親善リサイタル2016/11/08 23:47

クリストフ・コンツ(ヴァイオリン)とアンナ・マグダレーナ・コーキッツ(ピアノ)のリサイタルに行った。
2016.11.8 (火曜日)
18:30 開場、19:00 開演
日暮里サニーホール
プログラムは
ブラームス :F.A.Eソナタ
ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第8番ト長調
(休憩)
フランク:ヴァイオリンソナタ

コンツさんは自由で幅のある表現だった。コーキッツさんも対等な立場で音楽を出していた。よい演奏会だった。
ヴァイオリンソナタの8番は初めて聞いた。この軽さがいい。感情楽章では、ピアノソナタ第32番の第1楽章の先取りが聞こえてきたようだった。

アンコールはワーグナーのヴェーゼンドンク歌曲集(のヴァイオリン編曲)だった。これは渋い。

ラフマニノフの交響曲第2番2016/10/31 23:59

最近やっと、ラフマニノフの交響曲第2番を聞いた。ロマンチックな緩徐楽章のメロディーが実にいい。パガニーニの主題による狂詩曲の第18変奏もそうだけれど、なんでラフマニノフはこんなにセンチメンタルな旋律を思いつくことができるのだろう。

誰だったかが、プロコフィエフの凄さをラフマニノフと比べていて月とスッポンだと言っていたが、それではラフマニノフに失礼である。

ブラームス:ヴァオリンとチェロのための協奏曲2016/09/11 21:10

二挺の弦楽器のための協奏曲は、特にドイツ・オーストリア系の作曲家による協奏曲はドッペル・コンチェルトと呼ばれることが多い。ドッペルと聞いて出てくるのは、古いほうだとバッハの「二つのヴァイオリンのための協奏曲」であり、近代だとこのブラームスの「ヴァオリンとチェロのための協奏曲」である。

久しぶりにこの曲を聞いてみた。オイストラフのヴァイオリンにフルニエのチェロである。第1楽章のいかにも力こぶをためています的な曲を経て、第2楽章の穏やかな表情をたたえた曲に至ると安心する。一部にソドレミが聞こえるのがブラームスらしい。オーケストレーションの巧みさなのだろうか、どこかオルガンがなっているかのようなところもあるのにびっくりした。
第3楽章は最も私が好きな楽章で、ヴァイオリンとチェロとオーケストラのからみあいが見事だ。

私がこの曲を実演で聞いたのは一度だけである。二十年以上前だと思う。徳永兼一郎・二男兄弟の演奏で、バックはどこかのアマチュアオーケストラだった。場所は学習院大学の記念会館正堂ではなかったか。言葉にできない迫力はいまだに覚えている。

ベートーヴェン:チェロソナタ第5番ハ長調2016/09/11 20:47

ベートーヴェンのチェロソナタは第3番しか聞いてこなかった。今、第5番を聴いていて、もっと前から聞いておくのだったと後悔している。
最終楽章はシューベルトの軍隊行進曲を思わせるリズミカルなロンドで、ベートーヴェンの後期作品の中にも親しみやすいものがあることがわかった。

バッハ:ブランデンブルク協奏曲第4番2016/08/25 23:11

急にバッハのブランデンブルク協奏曲第4番を聴きたくなった。2本のリコーダーとヴァイオリンという組み合わせが絶妙で、バッハの曲の中では一二を争うほど好きな曲だ。

リコーダーはフルートに比べてのんびりしていて素朴という印象があるが、この曲では忙しいし機敏な動きが求められる。さらに忙しいのが独奏ヴァイオリンで、なぜこんなに無茶をやらせるのだろうとバッハに向かって文句を言わずにはいられない。きっと、リコーダーとの対比のために無理を承知で黒々とした音符を埋めたのだろう。

バッハにはこの曲の別バージョンであるチェンバロ協奏曲第6番がある。こちらは全音下げられたヘ長調になっていて、独奏ヴァイオリンの代わりをするのがチェンバロである。ヴァイオリンで苦労する個所はチェンバロではそれほどでもなく弾けるので、緊張感が少し落ちるのが残念なところだ。