作曲家と作品を考える(1)2024/09/06 17:19:17

下記の X (旧 Twitter)の記事がおもしろかった。
https://twitter.com/KimSeohyeon__/status/1830798156973633629
元記事の投稿者の弟さんが、ここにある課題の作曲家と作品を全部覚えないといけないらしくて頭抱えてた...ということである。

せっかくなので、私が【1】の表を一部清書した。罫線がうまく出ないのは勘弁してほしい。

時代区分作曲者名生まれた国主な作品1主な作品2
バロックヴィヴァルディイタリア「グローリア・ミサ」合奏協奏曲「調和の霊感」
バロックヘンデルドイツハープシコード曲「調子のよいかじや」管弦楽組曲「水上の音楽」
バロックJ. S. バッハドイツオルガン曲「トッカータとフーガ ニ短調」ブランデンブルク協奏曲
古典派ハイドンオーストリア弦楽四重奏曲「ひばり」交響曲「軍隊」
古典派モーツァルトオーストリア歌劇「魔笛」歌劇「フィガロの結婚」
古典派ベートーヴェンドイツ交響曲「英雄」大公トリオ
ロマン派ロッシーニイタリア「スタバト・マーテル」ウィリアム・テル序曲
ロマン派シューベルトオーストリア歌曲「魔王」歌曲「野ばら」
ロマン派ショパンポーランドポロネーズ「英雄」前奏曲「雨だれ」
ロマン派リストハンガリー交響詩「前奏曲」ピアノ曲「ハンガリー狂詩曲」
ロマン派ワーグナードイツ楽劇「トリスタンとイゾルデ」「ローエングリン」
ロマン派ヴェルディイタリア歌劇「アイーダ」「リゴレット」
国民楽派スメタナチェコ歌劇「売られた花嫁」わが生涯から
近代ムソルグスキーロシアボリス ゴドノフ交響詩「禿山の一夜」
近代チャイコフスキーロシアバレエ音楽「くるみ割り人形」白鳥の湖
近代ドボルザークチェコ交響曲第9番「新世界より」ユーモレスク
近代ドビュッシーフランスピアノ組曲「子供の領分」
近代レスピーギイタリア交響詩「ローマの松」ローマの祭
現代ストラヴィンスキーロシア春の祭典バレエ音楽「火の鳥」
現代ショスタコヴィチソビエト交響曲 No.5「革命」森の歌
現代プロコフィエフソビエト第3番交響的物語「ピーターと狼」

引用にあたって、もとの表はヘッダで一部罫線を抜いていたが、ユニバーサルデザインの立場から罫線抜きをやめた(HTML のことばでいえば、rowspan と colspan をつかわず繰り返し表記にした)。また、赤字は課題遂行者(と思われる弟さん?)による筆記解答、黒字はもとの課題に印刷されている課題製作者による情報である。

この表を見た方々がいろいろな意見を寄せている。大別すると次のとおりである。

  • このような暗記を強制するのはよくない
  • 暗記を通して音楽を好きになってほしい
  • その他

その他の代表は、たとえば「この作曲家がいない」だったり、課題遂行者のセンスがすごい、というものである。

私も上記記事を引用して旧 Twitter に投稿した。久しぶりのことである。私の投稿が気になる方がいるかもしれないが、それは書かない。その代わり、他で気になったことを書く。

まず、他のコメント投稿者も言っていたが、課題遂行者のセンスが凄い。ヴィヴァルディで「グローリア・ミサ」とか、スメタナで「わが生涯から」とか、ドビュッシーで「春」とか書けるのが末恐ろしい。私もかなりの曲を聴いているが、ヴィヴァルディの「グローリア・ミサ」は聴いたことがない。

あとこれは、センスではないが、あえて総称で呼んでいるのも意図してか否かは知らないが面白い。話題になっていたのはプロコフィエフの「第3番」であるが、これはピアノ協奏曲の第3番だろうか、交響曲の第3番であれば渋すぎる、などの意見があった。プロコフィエフの第3番といえば、他に何があったはずと気になったが思い出せず、作曲家辞典を引いてピアノソナタ第3番もあったことに気づいた瞬間、恥ずかしさで気絶しそうになった。知人が練習して、そして私も練習したことのあるピアノソナタ第3番に気づかなかったのはいったいなぜだろう。ちなみに、交響曲、ピアノ協奏曲、ピアノソナタ以外で第3番と称するジャンルはプロコフィエフにはなさそうだ。総称と言えば、バッハのブランデンブルク協奏曲があるが、これは第何番を指しているのだろうか。それとも、ヴィヴァルディの課題製作者による情報「調和の霊感」だって計12曲あるのにどれかも書いていないのだから特定する必要はないと思ったのだろうか。

コメントに対してコメントしてみるのもありだろうか。かりにこれがテストで出たとして、穴埋めで最も多くの空欄に当てはまる万能曲名があるとすれば何か、という観点から、「交響曲第1番」や「ヴァイオリン協奏曲」などを挙げる意見があった。そうすると、「交響曲」として埋めて正解となる作曲家は少なくとも11人いる。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ロッシーニ、スメタナ、ドボルザーク、チャイコフスキー、ストラヴィンスキー、ショスタコヴィチ、プロコフィエフである。スメタナの交響曲の名前は「祝典交響曲」であるがここに含めている。なお、この記事を書くにあたってストラヴィンスキーの作品一覧を調べて、交響曲第1番があることを初めて知った。一方、ヴァイオリン協奏曲ではヴィヴァルディ、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、チャイコフスキー、ドボルザーク、レスピーギ、ストラヴィンスキー、ショスタコヴィチ、プロコフィエフの12人である。ただし、レスピーギは「グレゴリオ風協奏曲」を事実上のヴァイオリン協奏曲とみなした結果である。ヘンデルにはヴァイオリン協奏曲がないのが意外だった。ヘンデルの協奏曲はほとんどがオルガンが合奏協奏曲の形をとっている。ほかには多くの作曲家が書きそうな「ピアノソナタ」、「ヴァイオリンソナタ」、「弦楽四重奏曲」などが習作も含めて候補にあがるが、調べるのが面倒になってきた。意外に侮れないのが「スターバト・マーテル」で、ここに名のある作曲家では、課題遂行者が載せたロッシーニのほか、ヴィヴァルディ、ハイドン、シューベルト、ドボルザーク、ヴェルディの計6名が曲を残している。

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_ まりんきょの音楽室 - 2024/09/09 11:19:17

すこし前に、作曲家と作品を考える(1)という記事を書いた。今日はこれを受けて、引用した教材の【2】の問題を清書した。

【2】次の作曲家の作品をア~コより選んで( )の