フォーレの「エレジー」を聴く(2)2023/05/18 23:59:59

では、フォーレのエレジーを聴こう。ピアノによる1小節の導入に続いて、ハ短調のすっきりした4小節のメロディーをチェロが奏する。このメロディーをそのままチェロは繰り返す。ただ、全く同じ繰り返しではない。まず音量が変わる。最初は譜面にあるとおり f だが、繰り返しでは pp になる。そして、フレージングが変わる。最初は1拍ごとに弓を返していたが、繰り返しでは2拍単位での弓の返しに代わり、息が長くなる。さらに別の変化として、チェロは弾く弦を変える。f のときには EsDCDC までを A 線で弾くが、繰り返しの pp になると Es からすべてD線で弾く(という指示が校訂譜にある。)D線で弾く音はA線で弾く音より柔らかくなる。2度めの繰り返しのあと新しいメロディー要素が出てきて盛り上がるが盛り上がりが治まると3度目のメロディーが ppp でかすかに表れる。