フォーレの前奏曲第1番を聴く ― 2023/06/01 23:59:59
フォーレには前奏曲集全9曲があるが、地味である。1曲だけでも弾かれる機会は稀である。ここで改めて全部を紹介する。第1曲はフォーレが好きな変ニ長調である。この屈折具合は、同じ変ニ長調である即興曲第4番の書法をさらに進めたもののように思える。
フォーレの前奏曲第2番を聴く ― 2023/06/02 23:59:59
フォーレの前奏曲第2番は、嬰ハ短調である。フォーレには珍しい、5/4拍子という変拍子をとっていて、半拍を3連符で推し進めている。和声は断続的に打ち鳴らされるだけで、狼狽してしまう。ただ、コーダはなめらかになり、変ニ長調に転じて落ち着く。フォーレ自身の耳疾が影響しているのだろうかと気になるが、たぶんそんなことは考えなくていいのだろう。
フォーレの前奏曲第3番を聴く ― 2023/06/03 23:59:59
フォーレの前奏曲第3番は、全9曲のなかでもっともなじみやすいものだ。あの変幻自在の和声進行が自然な形で音楽となっている。
フォーレの前奏曲第4番を聴く ― 2023/06/04 23:59:59
フォーレの前奏曲第4番は、前3曲に見られた内面への沈潜から転じて、外に向かって開かれているようにみえる。もちろん、フォーレ独自の屈折はあるけれど、前奏曲のなかで今の日本のポピュラー音楽に最も近いのがこの曲だろう。フォーレはこの曲の一部の素材を、組曲「マスクとベルガマスク」の「メヌエット」に転用している。
フォーレの前奏曲第5番を聴く ― 2023/06/05 23:59:59
フォーレの前奏曲第5番は、2拍3連符のリズムが多用されていて、大きなうねりが生まれている(小さなうねりが積み重なっているのが第2番である)。なかなか弾きこなすのが難しい曲だと思う。後半は急に人生の諦念を迎えたかのような曲想になる。
フォーレの前奏曲第6番を聴く ― 2023/06/06 23:59:59
フォーレの前奏曲第6番は、高声と低声の厳密なカノンを中声で結びつけるような、厳格対位法の課題のような作品だ。フォーレは確かに多くの作品でカノンの書法を効果的に用いていたが、この曲のように最初から最後まで、修行のようにカノンを用いた理由は何だったのだろう。私には残念ながらわからない。
フォーレの前奏曲第7番を聴く ― 2023/06/07 23:59:59
フォーレの前奏曲第7番は、前奏曲全9曲の中で最も好きな曲だ。布施明が昔、コンサートで「究極の9曲」と称して自分が好きな9曲をまとめて歌ったことがあったのを思い出した。私も布施明に倣って、フォーレの究極の9曲がこの前奏曲であると信じている。そしてその中でとくに、この第7曲が掛け値なしの名曲だと思っている。
フォーレの前奏曲第8番を聴く ― 2023/06/08 23:59:59
フォーレの前奏曲第8番は、広がりのある第7番と沈潜する第9番の間に挟まれて、少し分が悪いように思える。少し諧謔的な味わいがある、聞いた感じが軽い曲だが、底流は第7番や第9番と共通している。
フォーレの前奏曲第9番を聴く ― 2023/06/09 23:59:59
フォーレの前奏曲第9番は、拍子が少しずつ変わるところが「主題と変奏」の結尾の第11変奏を思わせる。また、冒頭のテーマはレクイエムの奉献頌(オッフェルトリウム)と似ている。しかし、この憂いは、何に例えればしっくりくるのか、私にはわからない。
オーケストラを聴きに行く ― 2023/06/10 23:59:59
この日はオーケストラを聴きに行った。プログラムは次のとおり
- バッハ=ブゾーニ=スタインベルク シャコンヌ
- ドビュッシー=ビュッセル 小組曲
- ラフマニノフ 交響曲第2番ホ短調 Op.27
このプログラムの前に、デュカスの「ラ・ペリのためのファンファーレ」が金管楽器によって演奏された。また、アンコールとして、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」とシュトラウスの「ラデツキー行進曲」が演奏された。
聴きに行ったというのは実は正確ではない。ファンファーレ以外はチェロを弾いていた。ただ、本当のところは自分が弾くのは不得手なので、ずっと聴く側に回っていたかった、というのが本音である。
最近のコメント