フォーレ「ドリー」のオーケストラ編曲を見る(1) ― 2025/05/13 22:19:23
フォーレの連弾曲「ドリー」は、アンリ・ラボーによって管弦楽に編曲されている。
オーケストラ編曲だから、音は原曲より多くなる。元の旋律をどの楽器が担当しているか、多くなった音はどの楽器が奏しているか、比べるのが楽しい。
今日は第1曲「子守歌(子守唄)」を見てみよう。冒頭から数小節は、原曲 Primo 相当部は木管が、Secondo 相当部は弦が担当している。そして原曲になり H のロングトーンを吹いているのが2番ホルンだ。そのホルンが消えるとこんどはファゴットが Fis のロングトーンを吹いている。こういうところが管弦楽のいいところだ。第一主題の繰り返される箇所になると多少役割が入れ替わり、Primo をVn1,2が、Secondo の右手を木管が担当する。さらに中間部の前までに管と弦がいろいろ役割を変えていく。中間部からはメロディーの Primo がフルートに、ベースとハーモニーのSeconda が弦とハープになる。その後、メロディーがフルートからオーボエに、分散和音がハープからクラリネットに受け継がれる。
中間部の終わりでメロディーが1stと2ndVnに受け継がれたあと、第1主題がホルンから他の木管楽器に受け継がれるが、最後のメロディーはやはりホルンがひきとる。「ドリー」はフォーレの中では穏健な作品で、なかでも第1曲は2拍子で「子守歌」という名前のとおり、あえてある程度の単調さを維持した曲となっている。
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