フォーレの舟歌第10番を考える2021/11/25 23:59:59

まずは冒頭で主題が提示される。楽譜を7小節と少し掲げる。

この部分を聴くと、6/8 拍子には聞こえず、むしろ 3/4 拍子に聞こえる。以前に私は、3拍子に聞こえるフォーレの舟歌は第7番だけではないかといったが、これは嘘だった。フォーレは、6/8 拍子の4拍めに新しい音を加えない書法で10小節まで通している。11小節からは4拍めに音が入り始めるが、3/4拍子に聞こえるように細工をしている。21小節4拍めからは3/4拍子に聞こえる主題が高音で繰り返されるが、低音は6/8拍子を意識している。35小節からは中音で主題が提示されるが、断片化される。そうして、48小節5拍目から、本曲で唯一、舟歌らしいリズムが高声部にあらわれるがそれは一瞬で、53小節から同一リズムが半音階でひたすら降下する。

どのように表現していいかわからない舟歌だ。フォーレ自身も、作曲しながらやりきれなさを感じていたのではないだろうか。 最後は長調に未練を持ちながら短調で終わる。これと似た終わり方が、フォーレの夜想曲第12番だ。