昔買ったチェンバロのレコードを思い出す2020/09/19 22:01:46

私が1970年代に買ったレコードの9割は廉価版であった。その廉価版を少しずつ思い出している。そういえば、チェンバロのレコードも1枚あった。

演奏者も、収録曲もろくすっぽ覚えていないのだが、一つだけ、バッハのイギリス組曲第5番ホ短調があったことだけ覚えている。ひょっとしたらイタリア協奏曲もあったような気がするが、なぜかイタリア協奏曲は私の趣味から外れていたこともあり、このレコードに入っていたかは判然としない。

私がバッハの楽譜を買った順番は、インベンションとシンフォニア(全音楽譜出版社)→バッハ集4(春秋社)→バッハ集5(春秋社)→平均律第1巻(音楽之友社)→平均律第2巻(全音)→バッハ集6(春秋社)→イギリス組曲(音楽之友社)→フランス組曲(音楽之友社)→ゴルトベルク変奏曲(外国版)と、難易度からいえば最初と最後だけがまともであとはしっちゃかめっちゃかな買い方だった。

それはともかく、イギリス組曲を初めてまともに聴いたのは第5番で、それはこのレコードにあったからだ。最初の長大な前奏曲で思わず身が引き締まり、その後の舞曲で緩んでいると、最後の不気味な半音階のジーグでまた身が引き締まるという聴き方をしていたので、どうにも居心地がわるい曲であった。居心地が悪くても、好きな曲であることに変わりはない。

イギリス組曲の中で一番好きなのは、第4番ヘ長調である。このゴキゲンな感じがバッハらしいような、らしくないような気がして好みである。好きになったのは、この曲のゴキゲンな演奏を聴いてからだ。

第6番は、すごいとは思うが、好き嫌いをいう次元にはない。特に最後のジーグっでは、トリルがうなり続ける、二本の手でこんなことができるのかという驚きがまず初めにあって、いまだに好き嫌いを表明するのさえはばかられるのだ。