チェロソナタ・エディションを聴く(CD5 プラッティ)2020/10/01 21:16:00

チェロソナタ・エディションはCD5に入った。ジョヴァンニ・ベネデット・プラッティのソナタが6曲収められている。プラッティといえば、鍵盤楽器のソナタに関して、ドメニコ・スカルラッティの系統をつぐ作曲家という位置づけで私のホームページに書いたことがある。ただ、プラッティの鍵盤楽器のソナタは真剣に聴いたことはないので、プラッティという作曲家を意識するのはこのチェロソナタが初めてとなる。

6曲全体の感想は、音楽の楽しさは伝わるけれど、それを突き抜けたものに欠けているのではないか、という疑問だった。ただ、こういう曲は、聴くより弾いてみるほうが曲の真価がわかるのかもしれない。

なお、この演奏の通奏低音は全曲にわたりオルガンが用いられていて、一部にハープシコードが加わる。オルガンとハープシコードを同時に使うのもユニークだし、弦バスがないというのもまた面白い。弦は独奏のチェロだけで浮き立つのだが、逆に通奏低音側が頼りない印象も受ける。

チェロソナタ・エディションを聴く(CD6 ランツェッティ)2020/10/02 23:00:00

チェロソナタ・エディションの CD 6 はサルヴァトーレ・ランツェッティの「2つのチェロのための6つのソロ Op.2 」という、実質ソナタの6曲が入っている。このうち、第2番だけが本当にソロのチェロと通奏低音のチェロの2つだけ演奏されている。本当のデュオである。その他は、チェンバロかオルガンが通奏低音として参加している。

このランツェッティのソナタは、チェロの技巧がかなり追及されているようで興味深い。特に、第5番イ短調はチェロの技巧が発揮されていて聴きごたえがある。

チェロソナタ・エディションを聴く(CD 7 ヘンデル・カポラーレ)2020/10/03 17:58:00

チェロソナタ・エディションの7枚めはヘンデルとカポラーレである。ヘンデルはいうまでもなく「メサイア」などで有名な作曲家である。カポラーレはヘンデルお気に入りのチェリストで、チェロのための作品も作っている。この CD は、ヘンデルの歌劇のアリアとカポラーレのソナタが一緒に入っている面白い構成となっている。ヘンデルのアリアが収められているわけは、お気に入りのカポラーレがチェロのオブリガートを弾くことを前提としたオペラのアリアがあって、それを紹介しようというものである。なお、アリアはカウンターテナーが歌っている。当時はカストラートが歌ったのだろうか。

さて、カポラーレのソナタであるが、これもバロック特有の心地よさはあるものの、突き抜けたところがなく、曲としての面白さはそれほどない。

演奏も、ここまで聴いてきたバロックチェロの中ではちょっと音程やリズムに甘いところが見られるのが残念である。アリアのカウンターテナーも音程がフラット気味で、これなら普通に女性が歌ってよかったのではないか。

「太陽にほえろ」のメインテーマを聴く2020/10/04 10:04:13

以前録画していた「カセットテープ・ミュージック」を再生していたら、井上堯之バンドの「太陽にほえろ」のテーマ曲が紹介されていた。懐かしいな、と思って聴いていたら、ナポリの六度が使われていることに気が付いた。下の楽譜の二段目、G♭のコードになったところがナポリの六度である。


クラシックのナポリの六度は「決めるところで」使われるとしたものだが、日本のポップスで使われるナポリの六度はクラシックとはちがって「さりげなく」使われるようが気がする。しかし、これはただの印象であって、実証的研究はしていない。

チェロソナタ・エディションを聴く(CD 8 ジェミニアーニ)2020/10/05 23:00:00

チェロソナタ・エディションの 8 枚目ジェミニアーニを聴いてみた。バロック後期ということで1枚めから7枚めまどと同じように聞こえてしまうのは、まだまだバロック音楽に対する修行が足りないのだろう。ただ、ジェミニアーニの音楽の流れは私の好みであった。少なくとも、飽きるということはなかった。

チェロソナタ・エディションを聴く(CD 9 ペリコーリ)2020/10/06 20:45:54

チェロソナタ・エディションを聴く(CD 9 ペリコーリ)を聴いた。このあたりから、チェロの技巧が少しずつ表に出てくるようになる。

この Pasquale Pericoli という人はほとんど知られていない。少なくとも、Wikipedia での項目は見当たらず、IMSLP にも6曲のチェロソナタの作曲者としての登録しかない。 Sonata No.4 ヘ短調の第2楽章はシチリアーナ:カンタービレという曲種紹介と速度記号がある。このシチリアーナにはナポリの六度が出てくる。シチリアーナにはナポリの六度が出てくるというどこかの主張は、この曲に関しては該当することになる。

チェロソナタ・エディションを聴く(CD 10 ボッケリーニ)2020/10/07 23:00:00

チェロソナタ・エディションの 10 枚めはボッケリーニである。「ボッケリーニのメヌエット」で知られているが、ほかの曲は知られていない。チェロ協奏曲変ロ長調という難曲があり、こちらはチェリストにはそこそこ知られている。ただし、これはグリュッツマッハーの編曲版で有名になったもので、原典版ではあまり知られていない。私は一度生演奏を聞いたことがあるのだが、編曲版だったか原典版だったかは当時気にしなかったので今となっては知る由もない。

さて、この CD にはソナタが7曲か入っているが、そのうちの1曲 Sonata in A G4 Bis は、やはり CD に入っている Sonata in A G4 の第1楽章の異なるバージョンのようである。この異なるバージョンG4 Bis は高い音域で奏する個所が G4 より1オクターブ高いのである。ほかにも、チェロでこんな高いところまで出すのかと思うところがある。どれぐらい高い音かというと、ヴァイオリンの E 線上の第1ポジションから第2ポジションのあたりの音で、チェロの一番低い C から4オクターブ上のあたりを細かく動く音符がある。

私としては、チェロで高音域を弾くよりは、豊かな低音域を鳴らしてもらいたいと思う。もちろん、そのような楽章(変奏)もあり、私はそちらのほうが好みだ。

なお、この演奏も、通奏低音には鍵盤楽器がなく、通奏低音はチェロ1挺か、ヴァイオリン1挺+チェロ1挺である。

チェロソナタ・エディションを聴く(CD 13 モシェレス、リース、フンメル)2020/10/08 23:00:00

チェロソナタエディションの CD 11 と CD 12 はともにベートーヴェンなのだが、フルニエの演奏で何回か聞いたことがあるので後回しにして、CD 13 から聴くことにした。モシェレスも、フンメルも、思ったよりよい。

思ったより、と書いたのは、作曲家の知名度とその作品の質が比例するという思い込みがあったからだ。つまり、モシェレスやフンメルといった作曲家は、同時代のベートーヴェンや少し下ったシューベルト、メンデルスゾーンより知名度が劣ることから作品の質も劣っているに違いない、という思い込みである。

たぶん、この CD に収められているモシェレスやフンメルの作品を聴いて、作曲者は誰かと言われたら、ベートーヴェンかメンデルスゾーンの作品だと答えてしまうにちがいない。とにかく私には楽しく聴けた。

なお、リースの作品は次の CD 13 にも演奏者が異なる別の演奏が入っているので、そこで感想を述べるつもりだ。

チェロソナタ・エディションを聴く(CD 14 リース)2020/10/09 20:00:00

チェロソナタ・エディションのCD 13 はリースのチェロソナタ3曲である。CDまるごと、一人の作品で占めている。ベートーヴェンの弟子ということで厚遇されているのだろうか。それはともかく、リースのチェロソナタも、思ったよりよい。

リースのソナタ3曲はそれぞれ op.20、op.21, op.125 の3曲がある。op.20 と op.21 は若書きなのだろうか、ベートーヴェンの初期の作品を連想させる。また、op.125 はベートーヴェンの中期を想起させる。ただ、リースはベートーヴェンとどう違うか、はっきりは言えない。

op.21 の終楽章のロンドを聴いていたら、主題にナポリの六度が出てくるのでちょっとシューベルトを思い出したが、その後の展開はシューベルトほどの波乱は見せていない。古典派からロマン派の間ということなのだろう。

チェロソナタ・エディションを聴く(CD 16 ショパン、アルカン)2020/10/10 15:00:00

チェロソナタ・エディションの CD 15 はメンデルスゾーンであるが、これは後回しにする。大した理由ではない。CD 16 がショパンとアルカンだったのでこれらを早めに聴いてみたかったのだ。

ショパンのチェロソナタは楽譜をもっているだけで演奏は今まで聴いたことがなかった。緩徐楽章が短いのが不思議だが、色合いとしては幻想曲やピアノソナタ第3番と似ている。

アルカンのチェロソナタはショパンと同様ピアノが活躍する。チェロが入ると少し落ち着いた感じになってアルカンのピアノソロの曲より聴きやすい気がする。これはチェロをひいきしているからだろうか。フィナーレの「サルタレット風に」がおもしろかった。この曲を聴いていると、なぜかショパンのタランテラを思い出した。思い出したわけは、6/8 拍子系のリズムが似ているからだろう。