『骨太の方針2026』を読む ― 2026/07/23 21:02:55
いわゆる『骨太の方針2026』として知られる、『経済財政運営と改革の基本方針 2026(原案)』を読んでみた。このpp.29-pp.30 から一部を引用する。ただし、引用にあたって語句の注釈は省いた。太字は引用者による。
(2)公教育の再生、研究活動の活性化
人づくりをおろそかにして良い社会は招来しない。高市内閣は人づくりの礎である公教育を再生し、教育の質を抜本的に高める。
AIの社会実装が目前に迫る中、児童生徒の発達段階に応じたAI活用の指導を後押しし、不確実で変化の速い社会を生き抜ける人材を育てる。学校向けAI指針を速やかに改定する。国策としてGIGAスクール構想を推進し、安全かつ主体的なAI活用に向けた環境整備や実証研究等を進め、先進事例の創出・横展開を図る。
高校から大学・大学院等までの人材育成システムを一体的に改革し、産業構造の変化に対応した人材基盤を強化する。2030年までを第1期とし、大学等の機能強化と規模適正化を総合的に推進し、高等教育の分野・地域のリバランスや18歳中心主義からの脱却を図る。理工・デジタル人材育成を含む大学・大学院等の機能強化のため、成長分野への学部再編、17の戦略分野の高度人材育成や実需に応じたリ・スキリング、高専の新設・機能強化、文理分断の傾向が強い大都市圏の大学を始めとする成長分野の重視や人社系のダウンサイジング及び理数分野併修を通じた質の向上、大学生・高校生での海外留学の一層の推進など多様性の中で価値を創造する人材育成を進める。教育成果や質に係る情報提供を強化する。 規模適正化と地域を支える人材育成のため、大学の経営体力ある段階での撤退を進めつつ、各地域の医療・介護・福祉、産業、インフラの維持に不可欠な質の高い人材養成、専門高校・短大等の一貫課程編成、専修学校教育の高度化を進める。高等学校教育改革促進基金による支援のほか、安定財源を確保した上で、交付金等の新たな財政支援の仕組みの構築を通じ、社会の変化に応じた高校教育改革を推進する。
教師の働き方改革、処遇改善、指導・運営体制の充実、教員免許改革等の育成支援を一体的に進め、喫緊の教師不足対応を含め、教師のなり手を確保する。2029年度までの時間外在校等時間の月30時間程度への縮減を目標とし、教師・学校の業務の適正化や校務DX等を進める。教職調整額を2030年度までに10%に引き上げる。定数改善計画を着実に推進するとともに、働き方改革に資する外部人材を拡充する。奨学金返還支援の学部段階を含む更なる検討を行う。学校と地域の連携・協働、部活動の地域展開等を全国的に進める。
多様性の包摂、情報活用能力の抜本的向上や興味・関心を踏まえた質の高い探究等、次期学習指導要領等が目指す学びの環境を整備する。幼児教育・保育の質向上を図る。いじめ・不登校等の対策や特別支援教育の充実、学校安全の取組を進め、安心して通える学校づくりを進める。学校の教育環境向上と老朽化対策を地方公共団体等が一体的・計画的に進められるよう着実に支援し、創造的な学習環境を整える。体験活動や読書活動、栄養教諭を中核とした食育を推進する。在外教育施設の機能強化を図る。
物価上昇下においても修学支援新制度、授業料後払い制度を着実に実施する。
新たに策定された「科学技術・イノベーション基本計画」を着実に推進するとともに、科学技術政策のEBPMを強化する。大学改革を進めるとともに、大学における研究活動を安定的、継続的に支える国立大学法人運営費交付金や科研費の大幅な拡充を図ることや、施設の計画的整備への着実な支援、私学助成の成長分野や地域を支える人材育成等への重点化・充実など、基礎研究を含めた科学技術研究の基盤を強化し、また、日本を国際頭脳循環の主要なハブとし、イノベーションを通じた経済成長や国際的地位の確保を達成する。 あわせて、運営費交付金の拡充等により国研の研究開発基盤の強化を図る。また、ムーンショット型研究開発(より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発)の推進による重要技術領域への支援の充実を図る。
科研費の全面基金化に向けた取組を推進し、研究者の煩雑な事務負担を軽減し、研究時間を確保する。先端研究施設・設備等の整備・共用・高度化を促進する。AIを科学研究に適用し、新たな発見や理解を加速する「AI for Science」を推進する。
大学病院の教育・研究・診療のバランスの在り方等を明確化しつつ、教育研究機能や経営力の強化・処遇改善に取り組む。
AI等の最先端の科学技術を学ぶ機会の継続的な提供等、女子中高生の理工系進路選択に向けた産学官・地域一体での取組や、若手女性研究者支援等を促進する。
いま、SNS などを見ると、『人社系のダウンサイジング』ということばが『骨太の方針』に盛り込まれていることに関して、非難のことばが相次いでいるように思える。私も『人社系のダウンサイジング』はひどいと思うが、それ以上にひどいのが、このことばが出ている一文の長さと意味の取りにくさだ。「理工・デジタル人材育成を含む」で始まり、「人材育成を進める。」で終わるこの一文が何を言わんとしているのか、私にはわからない。「いや、それはお前の頭が悪いのだ」と言われたら返す言葉がない。しかし、私は、この一文を、そしてこの一文を含む『(2)公教育の再生、研究活動の活性化』の小項をなんとか理解しようとしている。その私の意欲だけでもくみ取ってほしい。
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