俗手を思い出す2022/09/07 23:59:59

将棋には手の価値や衝撃度を表すことばがある。好手と悪手というのがどちらもよく使われる。好手のように、良い手という意味では、絶妙手、妙手、名手などがある。また悪い手に疑問手、落手というのがある。好悪は別にして度肝を抜く手として勝負手という言い方がある。これは主に形勢が悪い側が逆転を狙って指す手という意味合いがある。

さて、俗手というのは誰もがやりそうな手、という意味で一般には悪手に分類されることが多いが、俗手の名手というのもある。私が思い出すのは、真田圭一が当時の竜王である谷川浩司相手に挑戦した竜王戦第一局の☗4一金である。普通、手持ちの金を敵陣の一段目に打つ手は効率が悪くよくて俗手、悪いと悪手という烙印を押されるのだが、この場合はなかなかの手という評判を呼んだように記憶している。

さて、私はときどきNHKテレビの将棋トーナメントを見ている。昔々、ある棋士が後手番で☖6九金という決め手を放って快勝した。ほどなく感想戦が行われ、勝った棋士が「この俗手中の俗手で決めたのは私らしいと思います」と言っていたのにはさすがプロだと感心した。私にも実は☖6九金は見えていたのだが、プロはこんな俗手は指さないだろうと思っていたのだった。さてこの棋士は誰かということになるのだが、私が思っていた棋士と違っていたらその棋士の名誉を棄損したことになるかもしれないので、ここでは言わないことにする。

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