原田泰夫を讃える2022/05/11 19:12:50

昔、原田泰夫という名棋士がいた。なぜ原田のことを書いてみたくなったかというと、おととい羽生善治の振り飛車転向の可能性について少し書いたからである。居飛車党が振り飛車党に転向するのは珍しくないが、この原田は振り飛車党に転向してから順位戦のクラスを B級 2 組から A級にまで 2 段階も上げたという稀有な実績を持っているからだ。

さて、私は原田と面識があるわけではないが、原田のことを尊敬している。なぜか。まず、原田は新潟県出身である。なぜ新潟県出身だと尊敬するかというと、新潟県出身者には頭が上がらないからである。なぜ頭が上がらないかというと、私の両親が新潟県出身だからだ。親が新潟県出身者だからといって頭が上がらないかというとそれは違うと思うかもしれないが、ある方に「自分の親は二人とも新潟県出身だ」と言ったら、「そうなんですか。私も新潟県出身なんです」と言われ、その方からひとかたならぬ
恩義を受けたからだ。それに、原田の人柄がなんともいいのだ。以下はある人から聞いた話である。

ある人が若いとき、将棋が好きでたまらず、プロになりたいと思っていたときの話である。その人は、プロになる方法がわからず悩んでいたが、意を決してその人が知っているプロ棋士の一人、原田泰夫を訪ねることにした。何かの手段で自宅住所を調べたその人は事前連絡をせずいきなり原田の家に押し掛けた。さいわい原田は在宅で、その人に対して嫌な顔を一つせず中に通してくれただけでなく、平手で(!)指導対局をしてくれ、かつお土産にと原田の自著を複数手渡された。そして最後に原田は「他人様のお宅を訪れるときには、必ず事前に連絡をしておくのですよ」とたしなめた、というのだった。その人は、当然のことながら、原田の崇拝者になった。

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