ドビュッシーの弦楽四重奏曲を聴く(2)2021/12/12 11:12:18

ドビュッシーの弦楽四重奏曲を聴く(1)の続きである。第3楽章は最初を聴く限り、循環形式の冒頭の旋律は出てこない。最初の4小節は序奏だろう。5小節から6小節はこんな感じだ。

これだけからすれば、あまりドビュッシーという感じはしない。似た旋律が、ラフマニノフの前奏曲Op.32-2にあったのを思い出した。似ていると思うのは私だけか。

しかし、しばらくすると、変形された旋律が浮かび上がる。私は聴いていた限りではわからず、楽譜を見ていて初めて気づいた。譜面は第3楽章の41小節から47小節である。45小節(dim.の指示がある小節)の前後で、第1楽章冒頭の旋律が思い浮かぶはずだ。

第4楽章は序奏で主題のエコーがところどころ聞こえる。これは第2楽章のような半音階の風味がかかっている。序奏のあとは15小節から En animant peu à peu の快速な部分がチェロから始まる。この節は長3度と短3度が組み合わされていることでは循環主題の断片から組み合わされていて、リズムは第2楽章の冒頭に似ている。とはいえ、私はここを循環形式の主題とは認めたくない。第4楽章で初めて循環主題とはっきり認識できるところは、終わりが近づいた 242 小節である。

ああ、これですっきりしたという感情が沸き起こる。最後に第2楽章の冒頭の節も再現して終わる。いい曲だが、ドビュッシーにしては珍しくお行儀がいいのがかえって珍しい。