ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/13 を聴く2021/01/01 23:00:00

ハイドン ピアノソナタ Hob XVI/13 第3楽章

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/13 を聴いた。このホ長調のソナタは、第3楽章の冒頭が妙だ。ホ長調の何の変哲もない動機が、突然ホ短調になる。ハイドンはいったい何を考えていたのだろう。

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/26 を聴く2021/01/02 10:35:00

ハイドン ピアノソナタ Hob XVI/26 第2楽章

ハイドンのピアノソナタ Hob. XVI/26 を聴いた。第1楽章はハイドンらしい付点リズムと32分音符のかたまりが随所に現れる。

面白いのが第2楽章で、音楽の回文ともいうべきメヌエットだ。回文とは「たけやぶやけた」とか「わたしまけましたわ」のように後ろから読んでも同じになる文のことをいう。これを音楽でやったのがこのメヌエットだ。メヌエットは通常 ABA の三部形式であり、ハイドンは Aの部分 も B の部分も回文で作っている。譜例はこの A 部分である。なお、このメヌエットは交響曲第47番の第3楽章のメヌエットが原曲のようだ。交響曲のメヌエットはト長調である。

第3楽章は別の意味で面白い。1分もかからずあっという間に終わるフィナーレで、ハイドンのさっぱりした一面が垣間見られる。

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/G1 を聴く2021/01/03 23:00:00

ハイドン ピアノソナタ Hob XVI/G1 第1楽章

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/G1 を聴いた。32分音符のかたまりはここにもある。面白いのは、この最初の動機は7小節単位になっていることだ。

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/44 を聴く2021/01/04 19:28:00

ハイドン ピアノソナタ Hob XVI/44 第1楽章

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/44 を聴いた。ハイドンのソナタには珍しく短調で、さらに珍しいことに情緒が過多なぐらいだ。私はホ短調ソナタやロ短調ソナタのようにあっさりした短調にこそハイドンらしさがあると思っているので、このような情緒たっぷりな短調を聴くと困ってしまう。譜例は第1楽章の第2主題が出るところだ。ここもそうなのだが、この32分音符と64音符のアルペジオで入ってしまう突然さにはなぜか笑ってしまうのだ。

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/7 を聴く2021/01/05 22:01:02

ハイドン ピアノソナタ Hob XVI/7 第3楽章

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/7 ハ長調を聴いた。このソナタは3楽章あるが、前半繰り返しあり、後半繰り返しなしで通すと7分かからない。第1楽章の Allegro Moderato は前半10小節、後半 13 小節しかない。それでもて提示部には第1主題と第2主題があり、展開部は6小節で2つの主題が使われている。再現部では両主題とも再現され、りっぱなソナタ形式である。

今回の譜例は第1楽章全部を掲示してもよかったのだが、迷った末第3楽章の前半を掲示することにした。2小節間分散和音なのでこのリズムが続くのかと思いきや3小節めで一休みする。4小節めからは再度動き出すが、6小節でまた休む。このような動き方が3小節間単位で繰り返されるかと思いきや、繰り返しの直前は4小節単位となる。不思議な曲だ。よくポップスの末尾で繰り返をするとき、繰り返し部分の最後に繰り返しの最後をかぶせる手法がある。これに似ているのだろう。

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/47 を聴く2021/01/06 19:42:06

ハイドン ピアノソナタ Hob XVI/47 第1楽章

ハイドンのピアノソナタ Hob. XVI/47 を聴いた。楽譜を見て困ったのが、第1楽章の冒頭だった。右手には二重のスラーがかかっている。これはどう解釈すればいいのだろうか。

弦楽器であれば、1拍単位のスラーは一弓で弾くことを表し、1小節単位のスラーは弓を返すことを要求しつつも全体としてフレーズが一つになるような滑らかさで弾くことを要求する、と考えられる。

しかし、鍵盤楽器ではこのような二重スラーは意味をなさないように思える。たとえば、1拍の頭を強調するとか、拍内と拍間でスラーの程度を変える(すなわち隣接する音のかぶさり具合や切れ具合を調節する)などの技巧はできるだろうが、それをやって何の音楽的意味があるのだろうかと問うと、はっきりした解答が私にはない。

さらに、右手の1小節と3小節、5小節にみられる二重スラーは、左手の2小節と4小節、6小節にはない。おまけに、7小節からはスラーが両手から消える。これはどういうことなのか。スラーなしでいいのか。それとも simile を想定して前例を踏襲するのか。聴いた音源からは違いがわからなかった。

この右手と左手の対話形は、バッハのインベンション第1番や、ショスタコーヴィチの24の前奏曲とフーガの嬰ハ短調の前奏曲を思い出す。

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/27 を聴く2021/01/07 23:00:00

ハイドン ピアノソナタ Hob XVI/27 第1楽章

ハイドンのピアノソナタ Hob. XVI/27 を聴いた。 このソナタの第1楽章は譜面上ソドレミ(移動ド)で始まる。しかし、問題はドにはさまる装飾音で、これは回音(ターン)と解するのが普通だ。そうすると、ソドレミと素直には鳴らすことはできず、ソ ドレドシド レ ミファミレレミ と鳴らすしかない。これでは、ソドレミとは言えないだろう。

装飾音で思い出したのだが、私は昔、クラシックの定量譜で不確定要素が高くなる曲の仕掛がないか、考えたことがあった。一つの方法は、装飾記号で音を飾りたてることであった。

チェロ・ベストCDを買う2021/01/08 19:58:54

今年の 1 月 5 日、チェロ・ベストというCDを買った。私はチェロの名曲集を CD で持っていなかったので、1枚ぐらいはいいだろうと思い、近所の CD 屋に行ってみた。小さい CD 屋だから種類はそれほどないだろうと思っていたら、やはりない。これしかなかった。

収録曲は次のリンクにある。

https://www.universal-music.co.jp/p/uccd-4993/

https://store.universal-music.co.jp/product/uccd4993/

10 曲目が夢のあとに (フォーレ / カルザス編)となっていた。編曲者であるチェリストのカザルスがカルザスになるとは。これで気が抜けた。リンク先の情報だけでなく、買ったジャケットの裏もそうなっている。

また、これらの曲の半数以上を録音しているチェリストの名前が、ジュリアン・ロイド・ウェッパーとなっている。この誤りはリンク先のみで、ジャケット裏は正しくジュリアン・ロイド・ウェッバーとなっている。

誤植はさておき、収録された16曲を見ると、チェロオリジナルの曲はわずか2曲、すなわちハイドンのチェロ協奏曲第1番第2楽章と、サン=サーンスの白鳥だけである。他は、歌からの編曲とヴァイオリン曲の編曲が多くを占める。でも、これでいいのだろう。

フォーレのパヴァーヌを聴く2021/01/09 09:54:58

フォーレ「パヴァーヌ」Op.50

NHK AM の第2放送には「まいにちフランス語」というラジオ講座がある。木曜日と金曜日は応用編で、今年の1月からは「たずねてみよう、オペラ座の世界」という主題である。なんでこんなことを書いたのかというと、つれあいが聞き流しているこの応用編を私も同じように聞き流しているからだ。わたしにもわかるフランス語は Je suis fatigué. しかないので内容はチンプンカンプンである。しかし、講座の終了時にフォーレのパヴァーヌ (Op.50) が聴けるのが何よりの楽しみだ。

このパヴァーヌのメロディーは美しく、和声のうつろいも感傷的であることから、多くの編曲がある。私が好きな箇所は、アメル版の総譜練習記号 D で、リディアンで下降する音階が連続するところだ。このとき、和声も D → C → Bb と下降している。和声の下降は、ビクトリーコードの逆順である。ビクトリーコードとは、テレビ番組「ザ・カセットテープ・ミュージック」で有名になったコード進行で、詳しくはインターネットで調べてほしい。和声のうつろいが感傷的に感じる理由は、ビクトリーの逆をいっているからかもしれない。

この和声の下降の楽譜を掲げたがずいぶん汚い。きれいにするのは面倒なのでこれで勘弁してほしい。

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/52 を聴く2021/01/10 21:31:06

ハイドン ピアノソナタ Hob XVI/52 第1楽章

ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/52 変ホ長調を聴いた。ハイドンのピアノソナタの最高傑作という呼び声が高い。わたしも、最高傑作だと思う。どの楽章もいいが、一つ挙げれば第1楽章の展開部での転調だろう。楽譜に示した和声進行が続けばフェルマータのあとでハ長調かハ短調の和声になると予想するが、次に続くのは、あっと驚く為五郎、ホ長調のフレーズでしかも能天気なスキップのリズムで登場する。

譜例は掲げないが、もう一つ驚くのは第3楽章の冒頭主題だ。G の単音が5回等間隔で鳴ったあと、ダメ押しの G とその下の Es が同時に鳴って音楽が始まるのだが、このリズムが容易につかめない。ハイドンは見かけより難しいといったのは岩城宏之だったが、本当にそう思う。