ハイドンのピアノソナタ Hob XVI/47 を聴く2021/01/06 19:42:06

ハイドン ピアノソナタ Hob XVI/47 第1楽章

ハイドンのピアノソナタ Hob. XVI/47 を聴いた。楽譜を見て困ったのが、第1楽章の冒頭だった。右手には二重のスラーがかかっている。これはどう解釈すればいいのだろうか。

弦楽器であれば、1拍単位のスラーは一弓で弾くことを表し、1小節単位のスラーは弓を返すことを要求しつつも全体としてフレーズが一つになるような滑らかさで弾くことを要求する、と考えられる。

しかし、鍵盤楽器ではこのような二重スラーは意味をなさないように思える。たとえば、1拍の頭を強調するとか、拍内と拍間でスラーの程度を変える(すなわち隣接する音のかぶさり具合や切れ具合を調節する)などの技巧はできるだろうが、それをやって何の音楽的意味があるのだろうかと問うと、はっきりした解答が私にはない。

さらに、右手の1小節と3小節、5小節にみられる二重スラーは、左手の2小節と4小節、6小節にはない。おまけに、7小節からはスラーが両手から消える。これはどういうことなのか。スラーなしでいいのか。それとも simile を想定して前例を踏襲するのか。聴いた音源からは違いがわからなかった。

この右手と左手の対話形は、バッハのインベンション第1番や、ショスタコーヴィチの24の前奏曲とフーガの嬰ハ短調の前奏曲を思い出す。

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