フォーレの「ピアノとオーケストラのための幻想曲」を調べる(13)2020/06/22 23:00:00

今回は練習記号12、287小節から調べる。ここからはピアノがヘ長調でBの主題を再現する。その後フルートとヴィオラソロ、そしてフルートのほかクラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラのそれぞれのソロが重なってBのテーマが半音下となって呼び起こされる。その後再度ピアノでDのテーマが鳴り渡る。ここでのオスティナートは3番ホルンが担当する。テーマBとテーマDの交替は今までも出ていたので、残念ながら記すべきところがない。
さて、この第2部でBのテーマの前半4小節が呼び起こされるとき、その部分とテーマの開始音と調はどのように変化していただろうか。
211小節 オーケストラ 4小節 開始音=C 開始コード=C-E-G (長和音)
219小節 オーケストラ 4小節 開始音=H 開始コード=G-H-Dis (増和音)
231小節 オーケストラ 前半2小節 開始音=H 開始コード=Gis-H-Dis (短和音)
239小節 オーケストラ 後半2小節 開始音=H 開始コード=G-H-Dis-F (増和音+α
268小節 ピアノ    4小節 開始音=D 開始コード=D-Fis-A-C(属七)
287小節 ピアノ    4小節 開始音=C 開始コード=C-E-G-B(属七
295小節 オーケストラ 4小節 開始音=H 開始コード=C-E-G-H(長和音+7)
ここで着目すべきは、ピアノで再現されるときに、第1部と同じように開始音がDになっているということだ。このように転調を工夫しているところにフォーレの苦労があったようだ。そのあたりは、フォーレの研究者、ロバート・オーリッジの著書に詳しい。ここでは省略する。