将棋道場を思い出す2022/02/07 23:59:59

昨今のコロナ事情により、いろいろな業界が打撃を受けている。そんななかでも、業績が好調な企業が多いというのは私にとっては信じられない話である。経済のことをよく知っていれば、そのようなことが当然だと思うのだろうが、私は経済のことがよくわからない。

打撃が大きいのは飲食業、とくに外食だろう。そして、業界というほど大きくはないがやはり打撃を受けているのが将棋道場である。不要不急の外出は控えましょうと言われると、どうみても将棋道場は不要不急の外出先である。ただでさえネット将棋に押されて道場に入る客は少なくなっているのに、コロナ禍で追い打ちがかかってしまった。

そんなさなか、私は某将棋道場に行ってきた。お客さんは5,6人というところだろうか。自分の対局を数局済ませて別のお客さんどうしの対局を見ていると、対局者の一人がたえずダジャレを言っているのに気付いた。こんなのがあった。「角が成る、なる、ナルシソ・イエペスか。」私はこれを聞いて吹き出しそうになるのをぐっと我慢した。将棋を指している場では必ずといっていいほどおじさんがダジャレをつぶやいていて、私もあらかたパターンは知っているつもりだったが、クラシック・ギターの巨匠が出てくるパターンは初めてだった。このおじさんは寅さんのセリフを借りれば「さしずめインテリ」なのか。そういえば、町道場にあってネット将棋にないのは、おじさんのつぶやくダジャレだったことに気づいた。

私がよく行っていた道場では、そのようなダジャレにあふれていた。ダジャレだけではない。ある人は「飛車のタダ捨て!」、「角のタダ捨て!」などと絶えず自分の手を派手に宣伝していた。そうかと思うとかなり歳のいったおじいさんは対局をしていて相手の玉に王手をかけるときかならず「おーて」と小声でつぶやいていた。将棋のルールでは、王手であっても声を出さないのがマナーであるし、実際に道場で指すときも「王手」と声を出す人はこのおじいさんしかいなかった。今となっては、こんな喧噪が懐かしい。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://marinkyo.asablo.jp/blog/2022/02/07/9462542/tb