ヴィヴァルディのチェロと通奏低音のためのソナタホ短調 RV40 を聴く2020/07/04 23:00:00

渡辺和彦氏の「ヴァイオリン、チェロの名曲名演奏」(音楽之友社)という本を私は折に触れて読んでいる。フォーレの後期の室内楽を好きになれない、という氏の個人的な意見に反抗しながら、けっこうおもしろく読んでいる。コラムもいくつかあり、そのうち pp.37-41 は「バロック時代の名作」が開設されている。ここでまず、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲について簡単に解説されたのち、チェロについてこのように触れている。

ヴィヴァルディではチェロ・ソナタとチェロ協奏曲も見落とせない。チェロ・ソナタはメロディのきれいな曲が多く、おけいこ名曲として人気のイ短調以外の曲も鑑賞用にもっと聴かれてよい。

私が思うに、ここでのおけいこ名曲として人気なのはイ短調 RV43ではなくてホ短調 RV40 のほうではないかと思う。スズキメソッドで曲が載せられているのはホ短調のほうだからだ。ちなみに、私が持っているこのチェロソナタの演奏は、チェロと通奏低音(チェンバロと通奏低音)のものはまったくなく、フルニエの協奏曲に編曲されているバージョンである。もちろん、ヴィヴァルディはチェロ協奏曲も作っているが、ソナタが協奏曲仕立てになるほど、この RV40 は有名だし、名作だと思う。なお、ヴィヴァルディの真作と知られるチェロソナタは9曲あり、このホ短調のチェロソナタは第5番となっている。今日以降まとめてヴィヴァルディのチェロと通奏低音のためのソナタを概観する。引用する版は EDTIO MUSICA BUDAPEST(EMB)の原典版である。

この作品は4楽章からなる。追って楽譜を提示したい。

第1楽章 Adagio 。同音連続のテーマが耳に残る。主に高音域で歌われる。

第2楽章 Allegro。忙しいがあわてると高貴な雰囲気が損なわれる。弦をまたがる8分音符の動きに注意。最低音の C が響くと、低音フェチの私は喜ぶ。おまけにこの C はナポリの6度を決定づける音なので喜びは倍加する。

第3楽章 Largo。12/8 拍子ということもあってシチリアーノを思い出す。付点8分音符に32分音符というリズムは崩れやすいので、テンポのキープが肝心だ。

第4楽章 Allegro。8分音符の動きと 16 分音符の動きのそれぞれの違いを意識して、メリハリをつける。

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