フォーレの「ピアノとオーケストラのための幻想曲」を調べる(20)2020/06/30 23:00:00

今回は練習記号19、463小節から調べる。ここは452小節のフレーズが5度上で再現されるが、単純に高くなっただけではない。463 小節からのオーケストラのメロディーは第1ヴァイオリンで奏でられるが、そのオクターブ下を divisi のチェロが支えている。だから、2台ピアノ版の第2ピアノは、463小節から466小節まで、3拍め裏の16分音符にオクターブ下の音符を支えのために入れるのがいいだろう。
フォーレ「ピアノとオーケストラのための幻想曲」第463小節
しばらくすると前回初めて遠慮がちに登場したオクターブトレモロが、469小節でついには1小節全体を占めるようになる。下のピアノと弦楽器の総譜のうちの最後の小節である。
フォーレ「ピアノとオーケストラのための幻想曲」第467小節
このときのオーケストラにも注目してほしい。第1ヴァイオリンとヴィオラはオクターブの跳躍を伴っている。このような全音音階とオクターブ跳躍は晩年のフォーレにはよく見られ、たとえば歌劇「ペネロペ」やヴァイオリンとピアノのためのソナタ第2番にもみられるが、その萌芽は五重奏曲第1番の終楽章に見られる。たとえば、練習番号16の少しすぎたあたり、練習番号17の直前の箇所がそうだ。
フォーレ五重奏曲第1番第3楽章練習番号16
前後がわかりにくいが、全音音階とオクターブ跳躍のいずれも出ていることがわかるだろう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://marinkyo.asablo.jp/blog/2020/06/30/9266263/tb