フォーレの「ピアノとオーケストラのための幻想曲」を調べる(19)2020/06/29 23:00:00

今回は練習記号18、447小節から調べる。ピアノは447小節で和音Cを鳴らすが次にB♭に下がり、次の小節ではAで解決する。
フォーレ「ピアノとオーケストラのための幻想曲」第447小節
これは、ビクトリーコードと「カセットテープミュージック」で名付けられたA♭⇒B♭⇒Cとは逆向きの進行になっている。もちろん、逆向きというだけでなくA♭とAの違いはあるが、わたしは向きの違いにこだわりたいと思う。フォーレはビクトリーではなく、撤退を好んだのだろう。続いて449小節からも、G→F→Eという進行でダメ押しをしている。
そして456小節からは6連符に続いてオクターブのトレモロ(バッテリー)を導入している。
フォーレ「ピアノとオーケストラのための幻想曲」第456小節
このトレモロは全音音階であるのもポイントで、このころのフォーレは全音音階を好んで使っている。全音音階の特徴は、青島広志の「究極の楽典」によれば≪半音を含まないので、浮き上がるような雰囲気をもっています≫とあり、まさにそのような効果が出ている。

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