フォーレの「ピアノとオーケストラのための幻想曲」を調べる(17)2020/06/26 23:00:00

今回は練習記号16、411小節から調べる。第3部は佳境に近づき、419小節ではAのテーマとBのテーマが細分化され1小節ごとに交代するほどである。そして、私が最も好きな場面である、423小節から8小節間の解放感に満ち溢れた箇所が現れる。下記は前半4小節で、ここにない後半4小節はオーケストラがメロディーを奏で、ピアノは6連符の装飾に徹する。
フォーレ「ピアノとオーケストラのための幻想曲」第423小節
なぜここが好きなのか、自分でも言い表せないのだが、今までテーマの展開で息が詰まりそうなところでどのテーマとも言い難いメロディーで風景がぱっと広がる感じがするからだろう。日本では三大車窓(列車からの風景)というのがあって、私はそのうち篠ノ井線姨捨駅の車窓しか見たことがないが、私はこの場面にさしかかるといつもこの車窓を思い出す。
私が昔2台ピアノで弾こうと画策したとき、上記の箇所がピアノだと白玉になってしまい、伸びる音がなかったのが何とも残念だった。ピアノの協奏曲ではオーケストラをピアノで行うよりも弦5部で行うのがよいとつくづく思う。この、オーケストラを弦5部でまかなうアイディアはピアニストの田中良茂氏が自身でベートーヴェンのピアノ協奏曲全5曲を披露するにあたって得たものだ。第1番と第4番は既存の(外国人による)リダクションがあり、第2番、第3番、第5番は弦5部へのリダクションを日本の作曲家に依頼している。この弦5部のスコアも出版されている。ちょっと脱線したが、上記の箇所はリダクションでもよいのでオーケストラの響きで聴きたい。

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