フォーレの「ピアノとオーケストラのための幻想曲」を調べる(9)2020/06/18 23:00:00

今回は練習記号8、113小節から調べる。
フォーレ「ピアノとオーケストラのための幻想曲」第113小節
まず、ピアノ独奏で不穏な付点のリズムから始まる。付点のほうは E か F で短二度でぶつかりあっている。E と F を挟むのは16分音符の H だから調性も安定しない。この切迫感が第一次世界大戦の影響を受けているのではないか、という意見は以前紹介した。
この4小節のピアノ独奏に続くのは、4番ホルンである。E と F を弱音で吹くのはなかなか不気味である(なお、上記のスコアのホルンは in F で書かれている)。この曲は2管編成ではあるけれど、ホルンは4管が指定されている。
なぜここでホルンに言及するかというと、2小節だけではあるが、4番ホルンのソロであるからだ。
ホルンは難しい楽器であるうえに、話をややこしくしているのは、上吹きか下吹きに分かれる理由はなぜかという問題や、もっと細かく1番から4番までがオーケストラで分担が決まっていたりするのはなぜか、という問題があるからだ。私はホルンどころか管楽器は全く知らないからホルンのことに突っ込むと返り血を浴びそうだからここらで逃げたいが、この2小節は下吹きの4番が、心を込めて弱音で不穏な雰囲気を予感させるように吹くことができる格好の箇所なのではないかと思う。
この E と F を受けて、次に E と F を奏するのはチェロとファゴットである。こちらは E と F のつぎに As と G というおまけをつけている。その後すぐにオーケストラのトゥッティで主題Cが演奏される。ここでは弦楽器のみのスコアを掲げる。
フォーレ「ピアノとオーケストラのための幻想曲」第119小節
管楽器もこの121小節から4小節間を奏しているが、実は休んでいる楽器はあって、それはトランペットと4番ホルンである。4 番ホルンは最初の2小節のお仕事だけすればよい、ということで、なかなかよいではないか。
もっともこのあともう一度最初の2小節と同じ E F を吹くが、そのあとは多少お仕事がある。ほかにも管弦楽法を見ると面白いのかもしれないが、ここでは脇に置いておく。
識者は、この主題 C の和声が難しいことを指摘している。私も分析できないのでここはこれでおしまい。

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