ハイドン 交響曲第82番ハ長調を聴く2020/11/27 23:00:00

ハイドン 交響曲第82番ハ長調を聴いた。「熊」という名前がついている。

第1楽章でまず耳を引くのが、短9度の和音だ。そして、ヘミオラかどうか怪しい、リズムの交錯だ。むやみに打ち鳴らすティンパニもいい。

第2楽章は見通しのいい緩徐楽章だ。しかし、速度記号はアレグレットだ。こういうところもハイドンだ。

第3楽章はトリオでソロとトゥッティが掛け合うところが聴きどころだ。

第4楽章が、「熊」の名前のもとになった楽章である。このおもしろさは聴かないとわからないだろう。どこをとっても同じようで違うし、違うようで同じに聞こえる。ところでなぜこの楽章が「熊」なのだろう。熊遣いの音楽に似ているという記述もあるし、冒頭の響きが熊のイメージに結び付くという記述もある。よくわからないが、ハイドンの交響曲はたくさんあるから、数字で覚えるよりあだ名で覚えたほうがいいのだろう。もっとも、ハイドンの交響曲を覚えたから何の役に立つのかといわれると、答に窮する。

この「熊」という交響曲を聴くと、岩城宏之が何かの著書につづった話を思い出す。ハイドンは苦手だという話だったという話のなかで、岩城があるオーケストラを代理で指揮することになったとき、当初ハイドンの他の交響曲だったのを自身の希望でこの「熊」に変えてもらった、というようなことだったように記憶している。わざわざ変えてもらったというぐらいだから、岩城はこの曲が好きだったのだろうか。