ウェルナーの練習曲の誤植を発見する2020/10/31 13:14:26

Werner 教則本短音階の比較(上はオリジナル、下が東京楽譜出版社)
ウェルナーの練習曲の誤植を発見するシリーズも最後となった。私が持っている、東京楽譜出版社のウェルナーの教則本では、短調の音階が最終ページに載っている。この音階は旋律的短音階で、上昇するときは第6音と第7音を自然的短音階を基準として半音上げるが、加工するときは自然的短音階と同じだ。なので、音階上昇時にはシャープを1個つけたりフラットを1個減らしたりするが、下降時にはこれらの半音上げた効果をもとに戻す必要がある。

前振りが長くなった。正しい楽譜(上)は嬰ニ短調の下降でロ音にナチュラルがついているが、誤りのある楽譜(下)は嬰ニ短調の下降でロ音にシャープがついている。もっともこの場合、上昇時のシャープの影響は前の小節限りであり、下降に入ったこの小節では臨時記号をつけなくともナチュラルのロ音になるのだが、慣例として親切の臨時記号を付けることが多い。ただ、この場合には親切がアダになった。

もう一つ、これはどちらの楽譜でもそうなのだが、やはり嬰ニ短調の下降でハ音には一度ナチュラルがついていて改めてシャープがついている。このナチュラルは実は不要でシャープ一つだけでよい。シャープ一つだけでダブルシャープの効果を上書きしている。このような記述は最近楽典の本を読んで初めて活字として知った。

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