ハイドンのピアノソナタホ長調 Hob. XVI/31 を聴く2019/11/28 23:56:06

ハイドン ピアノソナタ Hob XVI/31 第1楽章

ハイドンのピアノソナタホ長調Hob. XVI/31 という小さなソナタを聴いた。だ。3 楽章全部弾いても繰り返しなしなら 10 分もかからない。このかわいらしいソナタを聴きながら、昔のことを思い出した。

私は小学生のとき、ハイドンのハ長調のピアノソナタ Hob. XVI/35 を練習した。ソナチネアルバムに載っている、あれである。最初の先生のところで仕上げて幼心に満足していた。そして次の2度目の先生のところで入門するときに、先生から、何か弾いてみなさい、と言われた。腕前を見定めるためだろう。わたしはこのハ長調のソナタの第1楽章を、自分なりに一所懸命に気持ちを込めて弾いた。弾き終わって先生は不満の意を漏らした。具体的にはどんなことばだったかは覚えていない。訴えてくるものがない、という意味だったように思う。好きなハイドンを弾いたのに、つれないことばだった。それからその先生のもとで、ハイドンを習う機会はついぞなかった。技術がなかったから当然ともいえるが、ハイドンの恨みはその後残り続けた。

2度目の先生でのピアノの稽古をやめてからも、ハイドンをけなされた恨みは忘れられず、いつかハイドンのソナタを人前で弾く機会をずっとうかがっていた。頃合いよしと思ったのは稽古をやめてからちょうど10年後だった。このホ長調のピアノソナタを選んだ理由は思い出せない。このときの制限時間は10 分だったことが影響しているのかもしれない。この機会の少し前にラジオでハイドンのこのソナタを聴いたときがあり、これが10分かからないことを知って、選んだだけかもしれない。この機会というのは何人かのピアノ弾きが腕前を競う学芸会のようなものであり、ほかのピアノ弾きはきらびやかな曲を選んでいたが、私は前座という役割だと思い、かろうじて暗譜をしたこのソナタを淡々と弾いた。弾き終わったらある方から「ハイドンは今のこの弾き方でいいんだ」と励まされたことを覚えている。

なお、ハイドンに限らずピアノソナタを弾くことはほとんどなく、ましてや暗譜で弾けるピアノソナタは皆無である。

久しぶりにこのXVI/31 を弾いてみて、おもしろいと思ったのが楽章構成だ。第1楽章 Moderato 、第2楽章 Allegretto 、第3楽章 Presto とどんどん速くなっていく。そして、第2楽章の一部、13小節から24小節を掲げてみた。3度と6度が並行して下降する音階ののち、高音の上昇と低音の下降で離れたのち再度集まる。ここがこのソナタの中で一番好きなところだ。

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