ピアノトリオコンサート20192019/02/23 09:40:03

トリオのリサイタルに行った。フォーレの作品がほぼ半分、フォーレとドビュッシーを合わせたフランスものが全体の 8 割という演奏会であった。
日時 2019 年 2 月 22 日 19:00-
場所 五反田文化センター音楽ホール
出演者:
 鶴野紘之(ヴァイオリン)
 正住真智子(ピアノ)
 加藤菜生(チェロ)

曲目
 メンデルスゾーン/ピアノ三重奏より第1楽章 
 ハルヴォルセン/パッサカリア
 ドビュッシー/アラベスク第1番、第2番
 ドビュッシー/ベルガマスク組曲より「月の光」、「パスピエ」
 フォーレ/エレジー
 ドビュッシー/チェロソナタ
 フォーレ/ヴァイオリンソナタ 2番
 フォーレ/ピアノ三重奏

私の興味は後半のフォーレだが、もちろん前半も楽しみにしていった。
有名な曲でも結構実演で初めて接するものもあった。私は舞台に向かって右、前から2列目というところに座っていた。ひょっとした怪しいおじさん全開オーラが漂っていたかもしれない。

冒頭のメンデルスゾーンは本当は全曲聞きたかった。しかし、プログラム構成を考えると1楽章だけというのは仕方がないだろう。かといって最初にトリオの曲がなければ、トリオの名前をタイトルに関するコンサートとしては不満だったろう。そんな気持ちを考えていた。
メンデルスゾーンのこの曲を聴くと、自分が体験したことのない、絵にかいたような青春を感じる。今回の演奏はそれがよく出ていたように思う。チェロの冒頭の A がなんとなく出てきたように思ったのは、気のせいだろう。

ハルヴォルセンのパッサカリアはヴァイオリンとチェロの組み合わせではもっとも有名だし(原曲はヴァイオリンとヴィオラだけれど)、映える曲だろう。フランス物で固めるのならばラヴェルのこの2つの楽器のデュオもあったろうが、それではあまりにも趣味に走りすぎだろう。技巧の確かなお二人の音楽を堪能した。

弦楽器二人が舞台から引き揚げた後はピアノソロでドビュッシーの曲が演奏された。これもまたドビュッシーはベルガマスクの後半2曲だけというケチなことは言わずに全曲やってほしかったが、時間の問題もあったろう。アラベスクを削るということはあるだろうが、有名なアラベスク第1番をお客様に届けたい、ということでこのような選曲をしたと想像する。演奏はどうだったかというと、アラベスク第2番が一番ツボにはまっていたのではないかな。この曲、よく聞くとベルガマスク組曲、特に第2曲のメヌエットと共通する素材がある。そう思うとこの省略は一つの見識だろう。ベルガマスクのパスピエは私も好きな曲だからこそ演奏についていろいろ言いたいことはあった。ただ言いたいことは楽譜をつけて述べたいのだが楽譜を作るのが面倒なので、割愛する。

前半最後はチェロとピアノである。エレジーはやはり名曲ですな。チェロをやるならここまで弾けるようになりたいと思う。全く弾けないけれど。ドビュッシーのソナタも実演で聞くのは久しぶりで、あの第2楽章のピチカートを聞くとあの世に連れていかれそうで怖い。こちらの演奏については言うことはありません。ただただ、ドビュッシーのすごさを身をもって感じた。

後半の大物2つを期待していたが、期待をしすぎると外れた時も大きい。どうすべきか迷ったが、演奏者を信じ期待することにした。
まずヴァイオリンソナタ2番。冒頭8小節を聞いて、若者たち、ようやるな、がんばれと期待する方向が見えた(偉そうに言っているが、そこは許してほしい)。この曲はいたるところに落とし穴があるし、落とし穴がない平坦なところで気が抜けてずっこけるところもある。よく二人は耐えたものだと思う。事実何度もよれたところは分かったが、復元が速かったのはさすがだった。プロはこうでないといけない。今でいうレジリエンスが優れた演奏だったと思う。個別の演奏は忘れたが、面白い発見があった。第1楽章冒頭をはじめとして、8分+4分の(短|長)2度の動きが曲全体のあちこちで聞こえる。ここをヴァイオリンが右手でいろいろな解釈をしていて面白かった。ダウンまたはアップでスラーにすることもあれば、ダウン+ダウンの連続でインパクトを与えたりすることもあった。
そしてトリオ。第1楽章は平坦だがそれだけにまとめが難しいがよく乗り切った。第2楽章はリズムが少し私の趣味と違ったがそれはどうでもよい。弦楽器のユニゾンと対位法の切り分けが聞かせた。第3楽章はピアノが乗っていたと思う。アラベスク2番もそうだったが、指が回ってなんぼの曲が好きなのかな。

アンコールは「ラシーヌ参加」のトリオ版編曲。冒頭からヴァイオリンのメロディーだったのは新鮮だった。トリオで聞いても違和感がないのはさすがフォーレだった。

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